接触直前のアレックス・アルボンとルイス・ハミルトン、2020年F1オーストリアGP決勝レースにてcopyright Getty Images / Red Bull Content Pool

レッドブル・ホンダ代表、ハミルトンに謝罪求める「接触がなければアルボンは勝っていた」

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レッドブル・ホンダのクリスチャン・ホーナー代表は、ルイス・ハミルトンとの接触がなければアレックス・アルボンは初優勝を飾っていたはずだと考えており、昨年のブラジルGPでも今回と同じようにアルボンのチャンスを奪い去った6度のF1ワールドチャンピオンからの謝罪を願っている。

3戦中2戦…ハミルトンとの事故確率66%

メカニカルトラブルによって数多くのマシンが脱落していく中、堅実な走りで3番手を走行していたアルボン。ジョージ・ラッセル(ウィリアムズ)のマシンストップに対して導入された2度目のセーフティーカーのタイミングで、ピットは優勝を懸けた大勝負に打って出た。

常に攻めの姿勢を貫くミルトン・キーンズのチームは、アルボンに”ボックス”の指示を飛ばすと中古のソフトタイヤへと交換し、セルジオ・ペレス(レーシングポイント)の後ろ4番手でコースに送り返した。隊列の先頭を走るバルテリ・ボッタスとハミルトン、そしてペレスはステイアウトを選択。アルボンのレースは優勝を賭けた戦いへと切り替えられた。

そして迎えたリスタート。アルボンは上り坂を下った先のターン4で、ギアボックスに問題を抱えるハミルトンのアウト側に回り込んでオーバーテイクを仕掛けた。2人は横並びになって鋭角の右コーナーを回ったが、立ち上がりと同時に交錯。グラベルへと飛び出したアルボンは最後尾に転落した。

スチュワードは、事故の責任はハミルトンにあるとして5秒ペナルティを科した。コース上に踏み留まり2位でチェッカーフラッグを受けたハミルトンは、最終4位に後退した。

初表彰台が奪われたという点でまさにデジャブだった。「昨年のブラジルGP」と聞くと遠い昔の事のように思われるが、実際には僅か2戦前の出来事に過ぎない。アルボンは直近の3レースの内の2レースでハミルトンと接触し、その両方で初ポディウムのチャンスを奪われた事になる。66%の確率だ。

昨年のインテルラゴスでのレースでは、ハミルトンがレース最終盤に2番手を走行していたアルボンに対し、インフィールドでオーバーテイクを仕掛けた際に接触。スピンを喫したアルボンは今回と同じように最後尾に転落した。最終的に5秒ペナルティによって7位に転落したものの、一方のハミルトンは生き残って3位でフィニッシュした。

慎重に言葉を選ぶアルボン

レースを終えたアルボンは「事故があったばかりでまだ落ち着いた状態じゃないから、自分の発言には気をつけなきゃならないけど」と深くため息をついた後、慎重に言葉を選びながら次のように続けた。

「でもまぁ、そうだね、こういう状況だけど、僕としては今日のレースは勝てたレースだと思ってる。メルセデスのペースは圧倒的だったけど、チームが戦略面で素晴らしい仕事をしてくれた」

「彼ら(前を走行していたメルセデスの2台)がハードタイヤを履いていた事は分かっていたから、(リスタート後の)最初の5周がチャンスだと踏んでオーバーテイクを仕掛けにいったんだ」

ハッキリとは口にしないものの、アルボンが事故の責任がハミルトンにあると考えているのは明らかだった。

「今日の方が酷かったとは言わないまでも、ブラジルGPの時の接触の方がまだ五分五分だったように思う。僕としては既に動き終えていたと感じているし、焦点は(もはやハミルトンではなく)前にいるボッタスに移っていたんだ。接触が起こったのはかなり遅かった」

「アウト側からのオーバーテイクは常にリスクを負うものだとは思うけど、僕はギリギリのところを走りながらも可能な限りスペースを与えていたから、クラッシュするかどうかは彼次第だと思っていた」

悔しさに言葉を失ったホーナー代表

アルボンの心中や察するに余り有るが、クリスチャン・ホーナーも相当にフラストレーションを抱えていたようだ。マックス・フェルスタッペンのみならずアルボンまでをも失ったレッドブル・ホンダのチーム代表はその胸の内を「あまりの悔しさに言葉を失う程だった」と説明した。

「このスポーツは時に残酷だが、今日はそういう日であったように感じる。アレックスは素晴らしいレースをしてくれたが、それに値する結果を手にできなかった。(ハミルトンに対する)5秒ペナルティは彼にとって何の意味も持たない。彼は優勝を逃したのだ。戦略はハマリ、履いていたのはソフトタイヤで、彼は強いポジションにいた」

アルボンはもっと忍耐強くレースに取り組むべきだったのだろうか? こう問われたホーナーは次のように答えた。

「そう言えるかもしれないが、彼は仕事をシッカリとこなしていた。だからあの追い抜きがあったんだ。リスクのない安全なオーバーテイクなどあり得ただろうか? 私にはルイスが手を振って彼を先に行かせてくれたとは思えない」

「それは結局のところルイスが判断を誤ったために起こった。彼が謝罪してくれれば良いのだが」

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