ダニエル・リカルド、セバスチャン・ベッテル、ロマン・グロージャン、ニコ・ヒュルケンベルグ
Courtesy Of Red Bull Content Pool / Haas / Renault

F1失格史:V6ハイブリッド時代に最も多くの処分を受けたドライバー、チームは? その理由は?

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セバスチャン・ベッテル(アストンマーチン)が燃料サンプル違反によりF1ハンガリーGPで失格となった事を機に、2014年以降、すなわち1.6リッターV6ハイブリッド・ターボエンジンが導入された現行世代における失格裁定をまとめた。

V6ハイブリッド時代において最も多くの失格処分を受けたドライバーは誰なのか? どのチームなのか? 失格となった理由は何だったのか?

2014年から2021年ハンガリーGPまでの7シーズン半で記録された失格は計14件に上った。いずれもテクニカルな理由によるものだった。

2019年日本GP:リカルド、ヒュルケンベルグ

レーシングポイントを従えて走るルノーのニコ・ヒュルケンベルグ、2019年F1日本GP決勝レースにてCourtesy Of RENAULT SPORT

レーシングポイントを従えて走るルノーのニコ・ヒュルケンベルグ、2019年F1日本GP決勝レースにて

レーシングポイントからの抗議を受けFIAは、ルノーR.S.19に搭載されていた”ブレーキバイアス調整システム”が競技規則に定める”ドライバー補助装置”に該当すると判断。ダニエル・リカルド(6位)とニコ・ヒュルケンベルグ(10位)の2名をF1日本グランプリのリザルトから除外した。

ルノーは不服を訴えたものの、控訴する事はなかった。

2019年シンガポールGP:リカルド

予選Q1において3号車ルノーR.S.19に搭載されたMGU-Kの出力が許容限界の120kWを超えたとしてリカルドが予選失格となった。

ルノーは、縁石に乗り上げた際にオーバーレブとなった事で、上限値を上回るパワーが瞬間的に発生したと説明。「超過エネルギー量は限定的で、これによる現実的な利益はなかった」と自己弁護したが、あまりにも周知のルールであるため解釈の余地はなく、控訴することはなかった。

2019年アゼルバジャンGP:ライコネン、ガスリー

60Nの荷重が掛かった状態でフロントウイングが許容値の5mm以上湾曲したとして、キミ・ライコネン(アルファロメオ)が予選結果から除外された。

また、燃料流量が100kg/hを超えていたことが判明したため、ピエール・ガスリー(レッドブル・ホンダ)も予選失格となった。

両チーム共、この決定に控訴する事はなかった。

2018年アメリカGP:オコン、マグヌッセン

燃料流量が毎時100kgを超えていたため、エステバン・オコン(フォース・インディア)とケビン・マグヌッセン(ハース)がレース失格処分を受けた。

両チームとも判定に異議を申し立てる事はなかった。

2018年イタリアGP:グロージャン

モンツァ・サーキットでハースVF-18をドライブするロマン・グロージャン、2018年9月2日F1イタリアGPにてCourtesy Of Haas

モンツァ・サーキットでハースVF-18をドライブするロマン・グロージャン、2018年9月2日F1イタリアGPにて

違法なフロアを使用しているとしてルノーが抗議。その結果、ハースのロマン・グロージャンがレース失格となった。問題が指摘されたのはマシンのフロア前部の形状。規約で半径50mmと定められているフロント側の角の部分に違反があったとの判断が下った。ハースとFIAとの間のコミュニケーション齟齬が問題を引き起こした。

チームはこの決定に対してFIA国際控訴裁判所に正式に控訴したものの、裁定が覆る事はなかった。

2015年ブラジルGP:マッサ

右リアタイヤの温度が許容値(110℃)を超える137℃であったとして、フェリペ・マッサ(ウィリアムズ)がレース失格処分を受けた。

ウィリアムズは当初、控訴する構えを見せていたが、最終的に「次のシーズンに集中したい」との理由をつけて断念する事を明らかにした。

2014年アブダビGP:ベッテルとリカルド

レッドブルでの実績を記したボードの横に立つセバスチャン・ベッテル、クリスチャン・ホーナー、ヘルムート・マルコ、2014年11月23日F1アブダビGPにてCourtesy Of Red Bull Content Pool

レッドブルでの実績を記したボードの横に立つセバスチャン・ベッテル、クリスチャン・ホーナー、ヘルムート・マルコ、2014年11月23日F1アブダビGPにて

いわゆるフレキシブルウイング案件。フロントウイングが許容範囲を超えて”たわんだ”事で、ベッテルとリカルドが共に予選失格となった。

エイドリアン・ニューウェイは他車も全て同じ状態との主張を展開したが、チームはこの決定に抗議しなかった。

2014年イギリスGP:マルドナド

セッション後に1リットルの燃料サンプルを提供できなかったとして、パストール・マルドナド(ロータス)が予選失格処分を受けた。

チームは「ルノーによる燃料計算ミス」が原因だと主張したが控訴する事はなかった。

2014年オーストラリアGP:リカルド

2位フィニッシュして表彰台の上でガッツポーズを取るレッドブルのダニエル・リカルド、2014年F1オーストラリアGPにてCourtesy Of Red Bull Content Pool

2位フィニッシュして表彰台の上でガッツポーズを取るレッドブルのダニエル・リカルド、2014年F1オーストラリアGPにて

燃料流量が毎時100kgを超えたため、リカルド(レッドブル)がレース結果から除外された。

チームはFIA認定のセンサーが正しく作動していなかったと主張してFIA国際控訴裁判所に控訴したが敗訴した。

2014-2021年 F1失格年表

失格処分最多の不運なドライバーはリカルド(4件)で、チームとしてはレッドブル(4件)が最も多かった。違反内容としては燃料流量違反(4件)が最多だった。

2014年以降の失格処分史
GP ドライバー チーム 理由
2021年 ハンガリーGP ベッテル アストンマーチン 燃料サンプル違反
2019年 日本GP リカルド ルノー ドライバーエイド違反
ヒュルケンベルグ
シンガポールGP リカルド ルノー MGU-K出力違反
アゼルバジャンGP ライコネン アルファロメオ ウイング剛性違反
ガスリー レッドブル 燃料流量違反
2018年 アメリカGP オコン フォース・インディア 燃料流量違反
マグヌッセン ハース
イタリアGP グロージャン ハース フロア形状違反
2015年 ブラジルGP マッサ ウィリアムズ タイヤ温度違反
2014年 アブダビGP ベッテル レッドブル ウイング剛性違反
リカルド
イギリスGP マルドナド ロータス 燃料サンプル違反
オーストラリアGP リカルド レッドブル 燃料流量違反