ジル・ビルヌーブ・サーキットのヘアピンを駆け抜けるメルセデスのジョージ・ラッセル、2022年6月17日F1カナダGP
Courtesy Of Mercedes-Benz Grand Prix Ltd.

F1ポーパシング規制:許容値決定・測定プロセスとセットアップ固定、導入時期と違反した場合の罰則

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第9戦F1カナダGPの週末を前に国際自動車連盟(FIA)から発表されたポーパシング規制はいつから導入されるのか? また、制限に抵触した場合にチーム側に科される指示内容、指示を経てなお違反した場合の罰則はどうなるのか?

技術指令書(TD039)の発行を通して、ドライバーの健康を脅かす程の激しいポーパシング、またはバウンシングが発生するマシンを規制するというこの新たな試みは、車体に搭載される加速度センサーとフロアの底面に取り付けられたスキットブロックの摩耗具合によって判断される。

いずれも規制値、並びに許容範囲を設定しない事には始まらない。だがそもそも、ピーク値で判断するのか、平均値で判定するのかといった具体的な部分についてもまだ煮詰まってはいない。

まずはジル・ビルヌーブでの週末を通してこの値を見極めていく事になる。FIAによるとカナダで適用されることはなさそうだ。週末を通して十分なデータが得られ、なおかつその分析を通して合理的な数値が見出されば、第10戦イギリスGPから実施される事になるだろう。

取り締まりはどのような流れで行われるのか? 許容値を超えた場合、あまりにも激しい上下動が確認された場合、チームはどのような対処をしなければならないのだろうか?

まだまだ議論途上との事で、今後変更される部分もあるだろうが、現時点で分かってる事を以下にまとめる。

独AMusによると、2回に渡る初日フリー走行を経た後に許容値が設定される。そしてFP3で各車、3周連続の全開走行を行い振動レベルを測定し、セットアップシートをFIAに提出する。DRSを使用する事、故意に低速で走行する事は許されない。トラフィックに遭った場合は再度計測が行われる。

これ以降、車高や空力、ダンパーやスプリングレートなど、個々のマシンのセットアップが固定される。フロントウイング等の一部の例外を除き、天候や冷却コンディションの変化がない限り、残りの週末でセットアップを変更する事はできない。

セットアップシートと振動値をもとにFIAは、必要に応じて是正を指示する。具体的には、対象のチームはライドハイトを最低10mm上げなければならない。

安全性に関わる事案であるため、是正によってなお既定値に収まらない場合には、FIA国際スポーティングコード第10条2項の定めに従い、最悪の場合失格処分が下される可能性もある。

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