女性ドライバーのF1への登竜門となるか?賞金総額1億6,900万円の「Wシリーズ」が2019年に開幕
女性ドライバーのF1への登竜門となるか?女性のみが戦う新たなモータースポーツ「Wシリーズ」の初開催を2019年に控える今、その参戦車両が公開された。
イタリア出身のレラ・ロンバルディオはF1史上初めて入賞した女性ドライバーとして知られるが、彼女が12位完走を果たした1976年の第11戦オーストリアGP以降、女性としてF1の決勝レースに出走した誰一人として存在していない。
Wシリーズはその一因として女性の機会損失を主張しており、「男性と同じ機会を与えられれば、女性も男性と同条件で競い合える」との信念の元に、この新しいシリーズは設立された。
初開催は2019年5月が予定されており、将来的には世界各国での開催を目指しているものの、まずはヨーロッパでの6戦が開催される。シーズン1には18名から20名のドライバーがエントリーし、同一車両が提供される。参戦のためにはオントラックテスト、シミュレーター評価、エンジニアリングテスト、フィットネス試験など、厳しい試験に合格しなければならない。
テストに合格すると、ドライビングテクニックやシミュレータ・エクスポージャー、エンジニアリングアプローチ、フィットネス、メディアスキルなどの獲得を目的とする特別養成トレーニング・プログラムが提供される。
指導・運営陣には超豪華な顔ぶれが揃っており、元F1ドライバーのデイビッド・クルサードやF1界の天才デザイナーであるエイドリアン・ニューウェイの他、マクラーレンとマノーでのマネジメント経験を持つデイブ・ライアンや、ジャーナリストとして活躍した後にマクラーレンのメディア担当を務めていたマット・ビショップら、F1での豊富な経験を持つ人材が名を連ねる。
シリーズの年間賞金総額は150万米ドル(約1億6,900万円)。年間チャンピオンには50万米ドル(約5,640万円)が与えられる。高額な賞金を提供する背景には、Wシリーズが女性のF1進出を阻害する要因の一つとして資金不足を挙げているに他ならない。
発表されたフォーミュラマシンは、FIA国際自動車連盟 F3仕様に準拠したレースカー「Tatuus F3 T-318」。アルファロメオのエンジンビルダーであるオートテクニカ・モトリがチューニングした4気筒ターボチャージャー付きエンジンは270馬力を誇り、パドルシフト付きSadev SL-R 6速ギアボックスがこれを伝達する。前後サスペンションはプッシュロッド付きダブルウィッシュボーン。ブレーキはブレンボが提供する。
シャシーには、サイドインパクトパネルや前後のカーボンインパクト構造の他、ホイールテザーや着脱可能なシート、そしてコックピット保護デバイス「ヘイロー」を搭載。最新の安全装置がドライバーの身を守る。