
サインツを襲ったウィリアムズFW47の「SCモード」事故はチームの責任とヴァウルズ、制御方法見直しへ
ウィリアムズのチーム代表ジェームズ・ヴァウルズは、2025年開幕オーストラリアGPのオープニングラップで発生したカルロス・サインツのクラッシュについて、FW47の「セーフティカーモード」による予期せぬパワーデリバリーが一因だったと説明した。
サインツはスタート直後の雨の中、最終コーナーでスピンしバリアに衝突。直前にクラッシュしたジャック・ドゥーハンの事故に伴うセーフティーカーが導入されていた最中の出来事だった。
クラッシュについてサインツはレース後、「セーフティーカーモードのシフトアップに関係」するものだと説明したが、第2戦中国GPを前にヴァウルズがさらなる詳細を明かした。
予期せぬパワー供給がスピンの原因
ヴァウルズによれば、このクラッシュは低グリップの路面コンディションと、FW47の「セーフティカーモード」による予期せぬパワーデリバリーの複合要因が引き起こしたものだったという。
「彼は最終コーナーを抜ける際、2速で一定のスロットルを維持していた。実際にはスロットル開度を1〜2%下げた状態で、3速へのシフトアップを試みた。いわゆるパーシャルスロットルでのアップシフトだった」とヴァウルズは説明した。
「この時は通常と異なるセーフティーカーモードに入っていた。この場合、システムは通常のエンジン全開時とは異なる動作をする。パワーとトルクの切断、そして再接続が発生した結果、今回はその再接続時に、通常よりもわずかに大きなトルクが発生し、それらが積み重なった結果としてスピンにつながった」
再発防止に向けた対策
チームはこの問題を再発させないために、システムの見直しを進めている。
「まず最優先で行うべきなのは、ウェットコンディションでのセーフティカーモードの設定と制御方法を見直すことだ。現状の設定は最適とは言えない。これはチームの責任だ」とヴァウルズは語る。
「また、当時のコンディションが非常に危険な状況であったことも強調したい。低速走行時にはタイヤの温度が低下し、わずかなグリップの低下が大きな影響を及ぼす。今回の件は、まさにその典型だった」
「今後も継続的に検証を進め、予測可能で安定したクルマをドライバーに提供できるよう改善していく」
サインツ:ピットにいる方が緊張
サインツはリタイア後、チームのピットウォールに残り、ドライバー視点での戦略的なアドバイスをチームに提供し、アレックス・アルボンの5位入賞に貢献した。
「カルロスは、クルマのパフォーマンス、天候、レーダーの情報などから、チームを助けてくれた。彼の分析は非常に有益で明確だった」とヴァウルズは感謝の意を表した。
「彼自身、『このコンディションの中でクルマを運転するよりも、ピットウォールで大量の情報を処理するほうが緊張した』と話していたが、それは信じがたいね(笑)。それでも、彼がそばにいてくれて本当に心強かった」