F1チーム関与の人工呼吸器、英国当局の認証を取得 いざ量産へ…製造はマクラーレン等が担当
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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症患者の治療に使われる新しい医療用人工呼吸器の第一号が、イギリスの医薬品・医療製品規制庁(MHRA)の承認を得た。既製品の改良版として開発された「ペンロン・プリマESO2」は来週中にまずは数百台が製造され、5月上旬までには別モデルを合わせて週約1500台の量産体制を完成させる。
この人工呼吸器はベンチレーター・チャレンジUKコンソーシアム(VentilatorChallengeUK Consortium)によって設計・開発されたもので、エアバスやアクセンチュア、DELLやDHL等といった企業の他、英国に拠点を置くレッドブルやメルセデス、マクラーレンら7つのF1チームが参画している。
人工呼吸器はCOVID-19患者の命を守る最後の砦だが、爆発的な感染拡大のために在庫が圧倒的に不足している。ベンチレーター・チャレンジUKコンソーシアムは人工呼吸器の量産体制構築を目的として設立された。医療機器メーカーのペンロン社の通常の製造ラインでは週に50~60台しか製造できない。
イギリス政府は4月16日(木)、MHRAの承認を受けて「ペンロン・プリマESO2」のオーダーが15,000台に達したと発表した。当局はパンデミックへの対応のために、人工呼吸器の在庫を1万台から1万8千台に増やす必要があるとしている。
「ペンロン・プリマESO2」が認可を得た一方で、レッドブルとルノーを含むグループが開発を進めていた「BlueSky」という名のプロジェクトは機能不十分を理由に中止されたものの、メルセデスがロンドン大学と共同で開発した簡易型の呼吸補助具「UCL-Ventura」は既に量産体制に入っている。
ベンチレーター・チャレンジUKコンソーシアムのトップを務めるディック・エルシー氏は「過去2週間に渡って我々は、(プリマESO2について)厳しいテストと臨床試験を重ねてきた。この種の人工呼吸器は複雑かつ重要な医療機器であるため、規制基準に間違いなく準拠させて、臨床ニーズを満たすことが我々の優先事項だった」と述べた。
「ペンロン・プリマESO2」の製造ラインは、民間航空機の翼を製造しているエアバス社のブロートン工場やフォード社のダゲナムエンジン工場、そしてウォーキングにあるマクラーレンのファクトリーに設けられる。マクラーレンはグループの総力を挙げて本プロジェクトに取り組んでおり、完成した製品の検査用マシンの設計および製造や、品質検査、人工呼吸器の台座の設計などを担当している。