メルセデスのバルテリ・ボッタス、2021年6月26日F1シュタイアーマルクGP予選にて
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ブーメラン? バルテリ・ボッタス、降格は過剰「F1では誰もが何かにつけて罰則になるよう仕向けてくる」

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マクラーレンのガレージ前で派手にスピンを喫して3グリッド降格ペナルティを受ける事になったバルテリ・ボッタス(メルセデス)はスチュワードの裁定は過剰だと訴え、ライバルチームがペナルティになるよう仕向けてきたせいだと暗にマクラーレンを牽制した。

事件はシュタイアーマルクGPのFP2で発生した。ピットストップタイムの改善を図るメルセデスは新たな試みとして、ピットアウトの際に1速ギアではなく2速ギアを使うアイデアを試すようボッタスに指示。ピットを出ようとしたボッタスはファストレーンに足を踏み入れた直後にリアを滑らせた。

なおチームは2速発進をボッタスのみで試していた。チームメイトのルイス・ハミルトンは「同じ事を試したか?」と問われると「いや、やってない」と答えた。

予選を2番手で終えたボッタスは「まさかピットレーンであんな事になるとは予想だにしてなかったんだけど、これまでとは違う事に挑戦してみようって事になって、2速ギアで発進してみる事にしたんだ」と説明した。

「ギアを上げれば回転数を抑えられるから、ホイールスピンを何とかできるかもって思ってね。でも一旦ホイールスピンが起きてしまうと手に負えなかった」

「理由は分からないけど、ライン上が霧雨の影響で少し湿っていたのかもしれない。ただただ、どうにもできなかった。2速と1速では挙動が全く違ったんだ」

今回のペナルティは妥当だと思うか?と問われるとボッタスは、スチュワードが罰則を科すとは思ってもみなかったと胸の内を明かした。

「個人的な見解を言えば、かなり厳しいと思う。あの後ペナルティが出るとは想像もしてなかった」

「もちろん他のチームは、チャンスがあれば危険だ何だとクレームをつけて、僕らがペナルティを受けるように仕向けてくるものだけどね。要はそういう事。このスポーツでは誰もが常に相手をねじ伏せようとする」

「確かにピットレーンに大勢の人がいれば、危険な状況になっていたかもしれないけど…」

ピットでのドタバタの直後、マクラーレンのポール・ジェームズはFIAレースディレクターのマイケル・マシに対して「全く馬鹿げた話だ。彼は我々の仲間を巻き込むところだった」と無線で不満をぶちまけた。

一方でマクラーレンのメカニック達は、自分達のガレージ前を空けるためかもしれないが、率先してボッタスのクルマを動かしてファストレーンへと戻る手助けをした。

メルセデスのトト・ウォルフ代表はこれについて「とあるスポーティング・ディレクターがマシの無線に飛びついて、終末的なシナリオをぶちまけたのは本当に面白い」と当て付けた。

ウォルフはまた、仮に同じ事をボッタスではない他のドライバーがやったとすれば「何が起こったのか分からない。地面に置かれたバナーか何かが滑りやかったのかもしれない。ペイントの仕方を変える必要がある」等と言って誤魔化しただろうと述べ、ボッタスは「とても正直に説明してくれた」と擁護した。

「だからバルテリのように、パドックの連中は少し誠実であるべきだと思う。すぐに(無線の)ボタンを押して、他のライバルをやっかんだり泣き言を言ったりする人たちは特にね」

なおボッタスは予選Q3の1回目の計測ラップを妨害されたとして、角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)を「このクソ野郎!」と非難。結局スチュワードは一件を審議の対象とし、セッション後に角田裕毅にペナルティを言い渡している。

3グリッド降格ペナルティによってボッタスは、27日の決勝レースを2番グリッドではなく5番グリッドからスタートする。