トロロッソ・ホンダ「中高速コーナーの競争力は改善、ストレートと低速では依然として遅い」
スクーデリア・トロロッソの技術部門を率いるジェームス・キーは、STR13の中高速コーナーでの競争力は改善しつつあるものの、依然としてストレートと低速コーナーではライバルに遅れを取っているとの認識を示した。
日本時間7月7日(土)に行われたF1第10戦イギリスGP公式予選に挑んだトロロッソ・ホンダ勢は、FP3でクラッシュしたマシンの修復が間に合わずブレンドン・ハートレーが出走を見送りノータイム。FP3で殆ど走れない不利な状況の中で挑んだピエール・ガスリーは、辛うじてQ2進出を果たし14番手を手にした。
ここ数戦に渡ってマシンのポテンシャルを引き出しきれていないトロロッソは、前戦オーストリアGPに引き続きフェラーリ型中空ミラーをはじめとした新しいエアロパーツを投入。マシンバランスの向上を目指してメカニカルセットアップの熟成に取り組むと共に、エアロレイクを取り付けて広範囲に渡るさまざまな項目をテストしていた。
「車高やセットアップなど、全てを適切な形で設定する必要があるんだけど、今のところまだスイートスポットを見つけられてないんだ」初日を振り返ったガスリーは、持ち込んだパッケージから性能を引き出しきれていないと語り、苛立ちをみせていた。
この状況に対して予選を振り返ったジェームス・キーは「何をすべきかは分かっている」とした上で、ストレート速度と低速コーナーを課題として挙げた。
中高速コーナーの競争力は改善
ジェームス・キーテクニカル・ディレクター
今日は本当に厳しい一日になってしまった。まず第一に、マシンに問題が出てしまったブレンドンに謝りたい。何よりも重要なのは彼が無事だった事だ。F1マシンの安全性が示された事に間違いはないが、あのような光景は誰だって見たくはない。
サスペンションに問題があった事は分かっているが、こんな事はこれまでに見たことがないんだ。細部を調査すると共にピエールのマシンに同じことが起こらないよう、原因がはっきりするまでの予防的措置としてFP3での走行を見合わせることにした。
ブレンドンのマシンはかなり損傷が激しく予選に出走できなかったため、明日はピットレーンからスタートする事になる。ピエールはFP3でほとんど走行できず、予定していたアイテムを試すチャンスもなく、セットアップを調整する事も出来ないままに予選に進んだため、不利な状況を強いられる事になった。
このような難しい状況ではあったものの、ピエールは昨日のフリー走行の時よりも予選の時のマシンの方が良くなったと感じていたため、Q1で3回のアタックを行って感触を確かめた。Q2では予め想定していたペースが出せたが、今日のQ3進出は不可能だったと思う。
週末を通じて中速コーナーでの改善を進めてきたが、高速コーナーでもかなり競争力がある状態に仕上がってきている。ただし、直線でのスピードと低速コーナーでは劣っている。今週末と先週のオーストリアで学んでいるから、何に取り組まなければならないかは分かっている。
昨日のロングランペースはライバルと比べて引けを取らないレベルだったから、トラブルに巻き込まれないようなクリーンなレースをした上で全力で取り組めば、14番手スタートのピエールにはチャンスがあるはずだ。ブレンドンはピットスタートになってしまうが、巻き返しに期待している。
ポールポジションはメルセデスAMGのルイス・ハミルトン。1000分の44秒差で2番手フェラーリのセバスチャン・ベッテルを退けた。3番手にはキミ・ライコネン。チームメイトには惜しくも1000分の54秒届かなかった。
2018年F1イギリスグランプリ決勝レースは、日本時間7月8日(日)22時10分にスタート。1周5,891mのシルバーストンサーキットを52周する事で勝敗を争う。