
角田裕毅、ローソンを選んだレッドブルF1の決定に理解―2026年に向けたキャリアの今後は?
2025年シーズンの開幕を前に、レーシング・ブルズ(旧RB)で5年目のF1シーズンを迎える角田裕毅が、自身ではなくリアム・ローソンをシニアチームに昇格させたレッドブルの決定について理解を示した。
2024年、コンストラクターズ・タイトルを逃したレッドブルはシーズン終了後にセルジオ・ペレスとの契約を終了。ホンダの支援を受ける角田は昇格の有力候補と見られていたが、チームは最終的にローソンを選択した。
ローソンは2023年と2024年にレッドブルの姉妹チームでダニエル・リカルドの代役を務め、3度のポイント獲得を果たすなど高い評価を受けていた。
レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は、4度のF1ワールドチャンピオンであるマックス・フェルスタッペンと並んで走ることは「F1で最も厳しい仕事」であり、その座を争うドライバーには並外れたパフォーマンスと精神的な強さが求められると指摘している。
F1公式サイトによると、レッドブルの決定について角田は、「公式に発表された時、さほど腹が立ったり失望したりはしませんでした」と語った。
「内心どこかで覚悟していたのかもしれません。結局のところ、レーシング・ブルズでもレッドブルでも、自分がやるべきことは変わりません」
「リアムが選ばれた理由は理解しています。自分ではどうにもならないこともあります。自分自身に集中し、もっと自分をアピールしていくだけです」と前向きな姿勢を見せた。
Courtesy Of Red Bull Content Pool
チームのリバリー発表に臨むレーシング・ブルズの角田裕毅とアイザック・ハジャー、ローラン・メキーズ代表とピーター・バイエルCEO、2025年2月18日(火) F1 75 Live(O2アリーナ)
角田は2024年に自己最高のドライバーズランキング12位を記録し、30ポイントを獲得。大きな成長を遂げた。レーシング・ブルズのチーム代表ローラン・メキーズも「彼のシーズンは素晴らしかった」と高く評価している。
しかし、角田の将来は依然として不透明だ。2026年のレギュレーション変更に伴い、ホンダはレッドブルを離れ、アストンマーチンの独占パワーユニットサプライヤーとなる。
このため、ホンダの支援を受ける角田にとっては、レッドブル昇格が叶わなかったことも相まって、新たなキャリアを追求する可能性が高まっているとも言えるが、あくまでもレッドブル残留を目指していく方針のようだ。
「もちろん、できればレッドブル・ファミリーに残りたいと思っています。もしレッドブル・レーシングに行けるなら最高だけど、たとえそうでなくても、このチームの一員でいられたら嬉しいです」と角田は語った。
「このチームに5年在籍してきたことで、チームのみんなとのつながりを強く感じています。ドライバーとして成長し、自分の目標に集中する上で、こうした環境は本当に重要ですし、チームからのサポートは本当に大きな意味があります。将来どうなるにせよ、興味深い選択肢がいくつかあるだろうと思います」
レッドブルのF1ドライバー育成プログラムにおいては、通常3年が一区切りとされる。そんな中、角田がファエンツァのチームで異例ともいえる5年目を迎えることになった背景には、ホンダとの関係や、後継となる有力な若手が不在だったことが影響していると考えられる。
しかし、2026年に向けた現時点では、レッドブルがこれ以上角田を姉妹チームに残留させる明確なインセンティブは見当たらない。仮に今後もレッドブル・ファミリーに残る可能性があるとすれば、それはレッドブル・レーシングへの昇格しかないように見える。
2025年シーズン、角田はレーシング・ブルズのリーダーとして、新たなチームメイトであるアイザック・ハジャーとともに戦うことになる。いずれにせよその成績次第で、角田のF1キャリアの方向性は大きく左右されることになりそうだ。