プラクティスデビューを終えてインタビューに応じる岩佐歩夢(RBフォーミュラ1)、2024年4月5日F1日本GP FP1
Courtesy Of Red Bull Content Pool

岩佐歩夢、2025年レーシング・ブルズF1リザーブドライバーに就任

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2025年のF1シーズンに向け、レーシング・ブルズ(旧RB)が新たな才能を迎え、岩佐歩夢をリザーブドライバーとして起用したことが明らかになった。

今季はTEAM MUGENから全日本スーパーフォーミュラ選手権に参戦しながら、角田裕毅またはアイザック・ハジャーに不測の事態が生じた場合、レーシング・ブルズのF1マシンをドライブする役割を担うこととなる。

ガレージでレースエンジニアのエルネスト・デジデリオと話す岩佐歩夢(RBフォーミュラ1)、2024年12月6日(金) F1アブダビGP FP1(ヤス・マリーナ・サーキット)Courtesy Of Red Bull Content Pool

ガレージでレースエンジニアのエルネスト・デジデリオと話す岩佐歩夢(RBフォーミュラ1)、2024年12月6日(金) F1アブダビGP FP1(ヤス・マリーナ・サーキット)

ホンダの育成プログラムに所属する岩佐は、同時にレッドブルのジュニアチームの一員としても活動している。2024年シーズンには若手ドライバー起用規定の下、日本GPおよびアブダビGPのFP1でRBのマシンを走らせた。また、F1開催週末にはシミュレーター作業を通じてチームをサポートする役割も果たしてきた。

RBは2024年シーズン、リアム・ローソンをリザーブドライバーとして起用していた。しかし、ダニエル・リカルドとの交代によりローソンがレギュラードライバーに昇格したため、アメリカGP以降はハジャーがローソンに代わってリザーブドライバーを務めていた。

VCARB 01でヤス・マリーナ・サーキットを走行する岩佐歩夢(RBフォーミュラ1)、2024年12月10日F1ポストシーズン・テスト (5)Courtesy Of Red Bull Content Pool

VCARB 01でヤス・マリーナ・サーキットを走行する岩佐歩夢(RBフォーミュラ1)、2024年12月10日F1ポストシーズン・テスト (5)

レーシング・ブルズのリザーブドライバーとしては、2025年のトヨタ・フォーミュラ・リージョナル・オセアニア選手権でタイトルを獲得し、スーパーライセンスの取得要件を満たしたアーヴィッド・リンドブラッドも候補と見られる。ただし、現時点では正式な発表はなされていない。

今回のリザーブドライバー就任は、岩佐のキャリアにおける新たな挑戦の始まりであると同時に、レーシング・ブルズの将来戦略を示す一手ともいえる。今後、F1デビューの機会を得る可能性も含め、彼がどのように成長し、F1界に新たな風を巻き起こす存在となるのか、期待が寄せられる。

岩佐は2017年にシングルシーターへとステップアップし、日本のF4選手権とアジアン・フォーミュラ・ルノー・シリーズに参戦。2019年には鈴鹿サーキットレーシングスクールのスカラシップを獲得し、2020年にホンダ・フォーミュラ・ドリーム・プロジェクト入りを果たした。

この年、初めて海外レースに挑戦し、フランスF4選手権に参戦。圧倒的な速さを見せつけ、2位に81ポイント差をつけてシリーズタイトルを獲得した。この活躍により一気に注目を集め、2021年のシーズン開幕前にレッドブル・ジュニアチーム入りを果たした。

レッドブルの支援を受け、2021年はF3アジアとFIA-F3選手権に参戦。ハンガロリンクでF3初勝利を飾った。シーズン終了後にはアブダビで行われたFIA-F2選手権テストにダムスから参加し、そのまま2022年のF2に向けて同チームと契約を結んだ。

F1の登竜門であるF2においても、すぐに適応力を発揮。フランスとアブダビで優勝し、さらに4度の表彰台を獲得して、デビューシーズンをランキング5位で終えた。2023年はさらに成績を向上させ、ジェッダとモナコのスプリントレース、そしてメルボルンのフィーチャーレースで勝利し、年間ランキング4位を獲得。F1参戦に必要なスーパーライセンス獲得条件をクリアした。

2024年は、日本のトップフォーミュラであるスーパーフォーミュラにTEAM MUGENから参戦し、3度の表彰台を以てシーズンをランキング5位で終えた。また、同年の第54回日本プロスポーツ大賞では新人賞を受賞した。