
角田裕毅が2025年レッドブルF1昇格を逃した理由、クルサードが指摘
2025年シーズンに向け、レッドブル・レーシングはセルジオ・ペレスに代わり、リアム・ローソンをマックス・フェルスタッペンのチームメイトに選出した。この決定により、角田裕毅は5年目のシーズンも引き続きジュニアチームである「レーシング・ブルズ」で戦うこととなる。
元レッドブルF1ドライバーのデビッド・クルサードは、この決定の背景には「マックス・フェルスタッペンに勝てるか?」という問いがあったと指摘している。
レッドブルの選考基準:「マックスを倒せるか?」
2024年シーズン、ペレスは152ポイントしか獲得できず、一方でフェルスタッペンは437ポイントを獲得。圧倒的なチャンピオンシーズンを過ごした。このパフォーマンス格差を受け、レッドブルはペレスを放出し、次のドライバーを選定することとなった。
角田は2024年シーズンにおいて安定した走りを見せ、レッドブルのタイヤテストでも高評価を得ていたが、チーム首脳陣の評価を覆すには至らなかった。
クルサードは、レッドブルが角田を昇格させなかった背景には「角田が将来のワールドチャンピオンになれるかどうか」という問いがあったと指摘した。
「ユーキは今シーズン非常に好調だっただけに、レッドブル・レーシングでのチャンスを与えられなかったことに落胆するのも当然だ」とクルサードは自身のポッドキャストの中で述べた。
「だが、最終的にレッドブルが下した判断は、『彼が将来のワールドチャンピオンになれるか?』『マックス(フェルスタッペン)に勝てるドライバーか?』という問いに対する答えだったのだろう」
「そして、これは意見ではなく事実の話だ。彼らはユーキに関するあらゆるデータを持っている」
角田の「イメージ問題」も影響か?
角田自身は、今回の昇格見送りについて「イメージの問題」があったと考えている。「僕が最初の年からすぐに結果を出せなかったことが影響したと思います。そうしたイメージができてしまった」と角田は英Autosportに語った。
また、角田は過去にレース無線で激しい言葉を使うことが多く、その点をレッドブルのモータースポーツアドバイザーであるヘルムート・マルコから「生産的ではない」と批判されていた。これもチーム上層部の評価に影響を与えた可能性がある。
ローソン昇格の決め手とは?
米ESPNによるとホーナーは、「予選ペースはユーキとほぼ互角だったが、リアムのレースペースは(角田を)わずかに上回っていた」と評価。その上で「まだ11戦しかF1を経験していないことを考えれば、リアムは今後さらに成長し、強くなっていくだろう。彼は精神的な強さとタフさをすでに示している」とし、ポテンシャルの高さを昇格の決め手とした。
また、ローソンの適応能力の高さと闘争心が評価されたとも説明した。
「リアムについて特に印象に残っているのは、その適応力の高さだ。どんな状況でもすぐに順応できる。例えば、ダニエル(リカルド)が手を骨折した際、急遽参戦したザントフォールトでのデビュー戦では、アウトラップでマックス(フェルスタッペン)とやり合った」
「まさに”闘争心あふれるレーサー”というタイプだ。DTM(ドイツツーリングカー選手権)に参戦した際も、フェラーリのGTカーへの適応が非常に速く、チームメイトだったアレックス・アルボンに対しても全体的に優位に立っていた」
「また、彼のレースクラフト(レース中の駆け引きや戦術)は大きな強みの一つだ。ホイール・トゥ・ホイールの戦いを恐れず、必要なら接触も辞さない」
角田の今後—レッドブル昇格の道は残されているのか?
今回の昇格見送りにより、角田は姉妹チームでの5年目を迎えることとなった。これに対し、クルサードは「もしユーキにレッドブル以外の良い選択肢があれば、そちらを選んでいただろう」と指摘し、角田に他チームからの魅力的なオファーがなかった可能性を示唆した。
しかし、角田が2025年シーズンに圧倒的なパフォーマンスを示せば、再びレッドブル昇格のチャンスを得る可能性もある。実際に、レーシング・ブルズ(旧トロ・ロッソ/アルファタウリ)出身のセバスチャン・ベッテルやピエール・ガスリーは、このチームで勝利を挙げた経験がある。
2025年シーズン、角田がどのように巻き返すのか、そして彼のF1キャリアの未来がどうなるのか、注目が集まる。