去就不明の佐藤琢磨、パドックはインディカー継続を楽観視「最低でも5年、容易に想像できる」
インディカー・シリーズを見守り続けてきたパドックの重鎮達は、未だ2022年のレース計画が発表されていない佐藤琢磨が50歳になってもシリーズに参戦し続けるだけのポテンシャルを秘めているとして来季以降の継続を楽観視している。
日本のレジェンドドライバーは今季限りでレイホール・レターマン・ラニガン・レーシング(RLL)を去った。チームは後任としてクリスチャン・ルンガーの起用を発表した。引退か、あるいは移籍か…現時点で佐藤琢磨は自身の去就を明らかにしていない。
パドックではアンドレッティ・オートスポーツに移籍したロマン・グロージャンに代わってデイル・コインと契約を結ぶのではと強く囁かれている。チームメイトは今季インディライツ総合2位のデビッド・マルカスとも噂されているが、デイル・コインは現時点ではまだ来季のシートを発表していない。
佐藤琢磨は来年1月に45歳の誕生日を迎える。スポーツカーレースでは決して珍しくない年齢だが、F1を含めた近代オープン・ホイールにおいては超ベテランの部類に入る。2021年シーズンで言えば、F1の最年長は42歳のキミ・ライコネン、スーパーフォーミュラは36歳の中嶋一貴だ。
今季のグリッドについた43名の中で佐藤琢磨より年上だったのはエリオ・カストロネベスとファン・パブロ・モントーヤ、トニー・カナーン、ジミー・ジョンソンの4名で、いずれも46歳であったが、フル参戦したのはジョンソンだけだった。
加齢とともに動体視力は低下し、視野角は狭まる。100分の1秒単位の違いがリザルトに違いを生み出すフォーミュラの世界で歳を重ねてなお、最前線で戦い続ける事は容易ではないが、パドックの重鎮達は佐藤琢磨が少なくとも後5年、インディカーに参戦し続けると見ている。
スポーツエディターを経て現在、インディアナポリス・モーター・スピードウェイ(IMS)のコンテンツプロデューサーを務めるザック・ホラルはインディカー公式サイトに「佐藤琢磨が少なくともあと5年間、NTTインディカー・シリーズに参戦し続ける姿を私は容易に想像できる」と指摘した。
ホラルはインディ500での2勝を含めた2017年以降のリザルトに触れ「佐藤はレーシングドライバーがキャリア後半に頭角を現す典型的な例だ」と付け加え、フルシーズンであろうがインディ500専任であろうが「向こう5年以上」に渡って走り続けられるポテンシャルがあると主張した。
インディアナポリス・スターのライターとして29年間に渡ってモータスポーツを見守り続けてきた経験を持つカート・キャビンもホラルと同意見だ。50代になってもシリーズに参戦し続ける可能性があるドライバーとして、今季インディ500で4勝目を挙げ来年5月に47歳になるエリオ・カストロネベスと佐藤琢磨の名を挙げた。
なおキャビンは、3・4年以内に身体的要求がより低いスポーツカーに転向するだろうとしてスコット・ディクソンを除外したが、インディカー・ライターのポール・ケリーは50歳で現役を続行するドライバーとして、通算6度のシリーズタイトルを持つ41歳のニュージーランド人ドライバーを挙げた。
「カートとザックはヘリオ・カストロネベスと佐藤琢磨を強く推したが、私は幾つかの理由からスコット・ディクソンを選ぶ」
「彼が記録に突き動かされているのかどうかは分からないが、彼はA.J.フォイトが持つ7度のチャンピオン記録にあと1回、歴代シリーズ記録にあと16勝と迫っており、あと10年、このシリーズに留まればシリーズの歴史における2つの重要なマイルストーンを更新するかもしれない」
「ディクソンは非常に好調で、衰えを殆ど感じさせない。彼は2006年以降、1シリーズを除いた全てで4位以上の成績を収めてきた」
「アイスマンはインディカーのトム・ブレイディ(米国史上最も偉大なアスリートと称賛される44歳のNFLスーパープレイヤー)となり、40代、ひょっとしたら50代になっても、若い人たちにシリーズの素晴らしさを伝えてくれるかもしれない」
現時点で来季シートが確定していないのはデイル・コインの2席の他に、A.J.フォイト・エンタープライズの2席、カーリンの1席、エド・カーペンターの1席、フンコス・ホリンジャーの1席、アンドレッティ・オートスポーツの1席がある。
ドライバーラインナップが決定しているのはカストロネベスとシモン・パジェノーのメイヤーシャンク、グレアム・レイホールとルンガー、ジャック・ハーベイのRLL、そしてジョセフ・ニューガーデン、スコット・マクラフラン、ウィル・パワーのチーム・ペンスキーの3チームだ。