チャンピオン獲得を喜ぶチップ・ガナッシのアレックス・パロウ、2021年9月26日インディカー・シリーズ最終第16戦ロングビーチGP決勝レースにて
Courtesy Of INDYCAR

インディカー最終ロングビーチ《決勝》:パロウが初王座!「スーパーフォーミュラの経験が決定的に役立った」佐藤琢磨は一桁締め

  • Published: Updated:

2021インディカー・シリーズ最終第16戦ロングビーチGPの決勝レースがカリフォルニア州現地9月26日(日)に行われ、アレックス・パロウが4位フィニッシュを飾り、初のシリーズチャンピオンを獲得した。

24歳のスペイン人ドライバーは全日本F3、SUPER GT、全日本スーパーフォーミュラ選手権等を経て2020年にインディカーデビューを果たし、今季は強豪チップ・ガナッシに移籍してのシリーズ2年目に臨んだ。

チャンピオン獲得を祝うチップ・ガナッシのメンバーとアレックス・パロウ、2021年9月26日インディカー・シリーズ最終第16戦ロングビーチGP決勝レースにてCourtesy Of INDYCAR

チャンピオン獲得を祝うチップ・ガナッシのメンバーとアレックス・パロウ、2021年9月26日インディカー・シリーズ最終第16戦ロングビーチGP決勝レースにて

25歳未満でのシリーズチャンピオンの誕生は現チームメイトのスコット・ディクソンがタイトルを獲得した2003年以来。シリーズ史上7番目の若さでの王座で、またチップ・ガナッシ・レーシングにとっては2年連続、14回目のタイトル獲得となった。

「なんてレースだ! なんてシーズンなんだ!この素晴らしいチップ・ガナッシ・レーシングそして全てのパートナー達の一員である事を誇りに思うよ」とパロウは語った。

「チャンピオンになれた事もそうだし、色んな人達からチャンスを貰った事を心から誇らしく思う。夢が叶った。次に目指すは2冠目だ」

日本のトップフォーミュラでの経験が役に立ったかと問われたパロウは「決定的だったと思う」と答えた。

「スーパーフォーミュラはインディカーを除いて唯一、シングルシーターで燃料補給を行うシリーズで、燃費が超重要なんだ。あの時の経験が僕を今日、この場に立たせてくれた」

チームオーナーのチップ・ガナッシは「彼の仕事ぶりには驚かされた。脱帽だよ。本当におめでとう」と祝福の言葉を贈った。

ガッツポーズを取るチップ・ガナッシのアレックス・パロウ、2021年9月26日インディカー・シリーズ最終第16戦ロングビーチGP決勝レースにてCourtesy Of INDYCAR

ガッツポーズを取るチップ・ガナッシのアレックス・パロウ、2021年9月26日インディカー・シリーズ最終第16戦ロングビーチGP決勝レースにて

パロウのタイトルはチェッカーフラッグを待たずに決した。

35ポイント差のランキング2位でレースに臨んだパトリシオ・オワード(マクラーレンSP)は、1周目のヘアピンでエド・ジョーンズ(デイル・コイン)に追突されスピン。これが原因で18周目に右リアのシャフトが折れ、走行不能に陥った。

オワードはジョーンズについて「僕らにぶつかってきたのは初めてじゃないし、彼が今シーズン中に愚かな事をしたのも初めてじゃない。もう少し頭を使うべきで、せめてチャンピオン争いをしている人たちに敬意を払うべきだ」と非難。マクラーレンのザク・ブラウンCEOはジョーンズの動きを「アマチュア」との表現で糾弾した。

マシントラブルでコース上に止まったマクラーレンSPのパトリシオ・オワード、2021年9月26日インディカー・シリーズ最終第16戦ロングビーチGP決勝レースにてCourtesy Of INDYCAR

マシントラブルでコース上に止まったマクラーレンSPのパトリシオ・オワード、2021年9月26日インディカー・シリーズ最終第16戦ロングビーチGP決勝レースにて

もう一人の候補、ジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)は終始、優勝争いに絡むレースを戦っていたものの、ポール・トゥ・ウインを果たしたコルトン・ハータ(アンドレッティ・オートスポーツ)がチェッカーを前に最多ラップリードを手にしたためチャンスが潰えた。

ロングビーチ市街地コースでの85周の争いはハータが優勝を飾り、2位にニューガーデン、3位にディクソンが続く結果となった。

2021年9月26日のインディカー・シリーズ最終第16戦ロングビーチGPで表彰台に上がったコルトン・ハータ(アンドレッティ・オートスポーツ)、ジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)、スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)Courtesy Of INDYCAR

2021年9月26日のインディカー・シリーズ最終第16戦ロングビーチGPで表彰台に上がったコルトン・ハータ(アンドレッティ・オートスポーツ)、ジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)、スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)

アンドレッティ・オートスポーツのコルトン・ハータ、2021年9月26日インディカー・シリーズ最終第16戦ロングビーチGP決勝レースにてCourtesy Of INDYCAR

アンドレッティ・オートスポーツのコルトン・ハータ、2021年9月26日インディカー・シリーズ最終第16戦ロングビーチGP決勝レースにて

レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングの佐藤琢磨は16番手からスタート。ピットストップ回数を減らす戦略に打って出たが、イエローコーションに阻まれ逆にポジションを落とした。ただ、最後まで堅実に走り切り9位と、シーズンをシングルフィニッシュで締め括った。

レースを終えた佐藤琢磨は「厳しく長いレースでしたが最終9位と、トップ10フィニッシュで締め括る事ができました。今日はピットクルーが素晴らしい作業をしてくれました」と語った。

「スタートは本当に良く、2回のフルコースコーションを経て有利な状況で戦う事ができていましたが、3回目のイエローによって多くのポジションを失う事となりました」

「その後はできる限りリカバリーをしようと懸命に戦いました。今日は低ドラッグのセットアップを使っていたためコーナーで苦戦する部分もありましたが、レースを通してハードな戦い続けました」

「シーズンを通して応援してくださったファンの皆さん、本当にありがとうございました」

今季はレイホール移籍後、初めて優勝のないシーズンとなり、ランキング11位でシリーズ参戦12年目を終えた。

レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングの佐藤琢磨、2021年9月26日インディカー・シリーズ最終第16戦ロングビーチGP決勝レースにてCourtesy Of INDYCAR

レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングの佐藤琢磨、2021年9月26日インディカー・シリーズ最終第16戦ロングビーチGP決勝レースにて

ロジャー安川氏とアレックス・パロウ、2021年9月26日インディカー・シリーズ最終第16戦ロングビーチGP決勝レースにてCourtesy Of INDYCAR

ロジャー安川氏とアレックス・パロウ、2021年9月26日インディカー・シリーズ最終第16戦ロングビーチGP決勝レースにて

動画

2021年第16戦ロングビーチ決勝結果

Pos. Start Driver Gap
1 14 コルトン・ハータ
Andretti
–.—-
2 1 ジョセフ・ニューガーデン
Team Penske
0.5883
3 2 スコット・ディクソン
Chip Ganassi
1.0752
4 10 アレックス・パロウ
Chip Ganassi
2.4120
5 4 シモン・パジェノー
Team Penske
3.1237
6 15 アレキサンダー・ロッシ
Andretti
4.6739
7 25 ジャック・ハーベイ
Meyer Shank
6.3467
8 22 セバスチャン・ブルデー
A.J. Foyt
8.0275
9 16 佐藤琢磨
RLL Racing
10.5939
10 12 ウィル・パワー
Team Penske
11.4297
11 13 スコット・マクラフラン
Team Penske
12.3327
12 9 エド・ジョーンズ
Dale Coyne
26.9660
13 5 フェリックス・ローゼンクビスト
McLaren SP
27.4167
14 7 ジェームズ・ヒンチクリフ
Andretti
27.9725
15 23 マックス・チルトン
Carlin
30.0358
16 19 グレアム・レイホール
RLL Racing
30.3482
17 27 ジミー・ジョンソン
Chip Ganassi
31.1603
18 20 チャーリー・キンボール
A.J. Foyt
32.1546
19 26 ダルトン・ケレット
A.J. Foyt
32.1585
20 3 エリオ・カストロネベス
Meyer Shank
32.6206
21 21 コナー・デイリー
Ed Carpenter
1 lap
22 28 オリバー・アスキュー
RLL Racing
2 lap
23 11 ライアン・ハンター=レイ
Andretti
2 lap
24 6 ロマン・グロージャン
Dale Coyne
10 lap
25 24 リーナス・ヴィーケイ
Ed Carpenter
37 lap
26 18 カラム・アイロット
Juncos Racing
38 lap
27 8 パトリシオ・オワード
McLaren SP
42 lap
28 17 マーカス・エリクソン
Chip Ganassi
60 lap

2021年最終ポイントランキング

第16戦出走者を対象に、レース結果を受けてのポイントランキングを以下にまとめる。

Pos. Driver Pts. Total Gap
1 アレックス・パロウ
Chip Ganassi
32 549 0
2 ジョセフ・ニューガーデン
Team Penske
42 511 -38
3 パトリシオ・オワード
McLaren SP
5 487 -62
4 スコット・ディクソン
Chip Ganassi
36 481 -68
5 コルトン・ハータ
Andretti
53 455 -94
6 マーカス・エリクソン
Chip Ganassi
5 435 -114
7 グレアム・レイホール
RLL Racing
15 389 -160
8 シモン・パジェノー
Team Penske
30 383 -166
9 ウィル・パワー
Team Penske
20 357 -192
10 アレキサンダー・ロッシ
Andretti
28 332 -217
11 佐藤琢磨
RLL Racing
22 324 -225
12 リーナス・ヴィーケイ
Ed Carpenter
5 308 -241
13 ジャック・ハーベイ
Meyer Shank
27 308 -241
14 スコット・マクラフラン
Team Penske
19 305 -244
15 ロマン・グロージャン
Dale Coyne
6 272 -277
16 セバスチャン・ブルデー
A.J. Foyt
24 258 -291
17 ライアン・ハンター=レイ
Andretti
7 256 -293
18 コナー・デイリー
Ed Carpenter
9 235 -314
19 エド・ジョーンズ
Dale Coyne
18 233 -316
20 ジェームズ・ヒンチクリフ
Andretti
16 220 -329
21 フェリックス・ローゼンクビスト
McLaren SP
17 205 -344
22 エリオ・カストロネベス
Meyer Shank
11 158 -391
23 ダルトン・ケレット
A.J. Foyt
11 148 -401
25 マックス・チルトン
Carlin
15 134 -415
26 ジミー・ジョンソン
Chip Ganassi
13 108 -441
29 オリバー・アスキュー
RLL Racing
9 61 -488