
ストロールをも饒舌にする鈴鹿の魔力、21番手でも消えぬ走る喜び。一方で振動問題は「あまり変わっていない」
2026年F1第3戦日本グランプリの初日、ランス・ストロール(アストンマーティン・ホンダ)は、FP1とFP2をともに21番手という厳しい位置で終えた。タイムシートでは後方に沈んだものの、セッション後のメディア対応では、ある話題に限って普段とは異なる饒舌さを見せた。
ストロールは、質問に対して多くを語らず一言二言で返すことが多い。この日も走行プログラムの進捗や、2日目に向けた取り組みなどについては最小限の回答にとどまった。一方で、鈴鹿サーキットについて問われると、ポジティブな感情を口にした。
セッション後、予定していたプログラムを消化できたかと問われると「ああ」と一言。振動対策は機能しているかとの質問に対しても「あまり変わっていない」と短く返した。
ホンダはホームレースに向け、エネルギーマネジメントの改善と並行して、振動問題の対策としてパワーユニット側に対策を施した。だが、ストロールによれば問題の解消にはまだほど遠いようだ。
ホンダ・レーシング(HRC)の折原伸太郎トラックサイド・ゼネラルマネージャー兼チーフエンジニアは、ドライバーが身体的に感じている振動を低減するための対応策を検討するうえで「有意義」なデータを収集できたと振り返った。
ストロールは、セットアップ変更の可能性について問われると、「いくつかアイデアはある。どこを改善すべきかは分かっている」としつつ、再び多くを語らなかった。
一方で、「万全とは言えないマシンでも鈴鹿を楽しめているか?」との問いに対する反応は、これまでの質問に対するものとは明らかに異なっていた。
「もちろんだ。間違いなくね」とストロールは語った。
「ここは毎回戻ってくるのが楽しみな場所なんだ。ここで走るのは本当に特別だよ。コースも素晴らしいし、雰囲気も最高だ」
「だから、今日は走っていて楽しかった」
競争力不足や振動トラブルが山積する厳しい条件下でも、鈴鹿の「走る喜び」が失われることはないのかもしれない。
ストロールはFP1で22周、FP2で21周を走行した。決して多い周回数ではないが、これはリタイアに終わった前戦中国グランプリの走行距離を上回るものであり、チームにとっては確かな前進でもある。
初日に積み上げた走行データは、チームにとって重要な基盤となる。前戦では十分に得られなかったロングランの情報や、再舗装された路面での挙動の把握は、予選と決勝に向けた貴重な材料となり得る。
現時点での目標は、何よりもまず完走だ。父親となったフェルナンド・アロンソも合流し、チームはフル体制で土曜日の最終フリー走行と予選に臨む。