観客の声援に手を降って応えるフェラーリのシャルル・ルクレール、2019年F1シンガポールGP予選にて
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ルクレール、”予想外”のポール「まさかレッドブルとメルセデスに勝てるなんて…」F1シンガポールGP《予選》

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フェラーリは今シーズン、良い意味と悪い意味の両方でファンを裏切った。最初は開幕オーストラリアGP。プレシーズンテストの時の圧倒的速さは完全に消滅した。2度目は第15戦シンガポールGP。21日に行われた予選では、苦手の低速コースでシャルル・ルクレールがポールポジション。事前の下馬評を完全にひっくり返した。

誰も予想し得なかった結果と言って差し支えないだろう。レッドブル・ホンダやメルセデスといったコンテンダーに名前の挙がっていたライバルはもちろんだが、当のフェラーリでさえ予想外の結果だったのだから。

ルクレール本人も予想だにせず

「なんてこった! 3回もコントロールを失ったのに!」ポールラップを振り返ったルクレールは興奮を隠そうとはしなかった。ルクレールにとっては3戦連続でのポールポジション。対チームメイト予選成績という観点では、8戦連続でセバスチャン・ベッテルを上回る事となった。

ベッテルはQ3での最初のアタックラップを終えて暫定ポールにつけていたものの、最終アタックのセクター1でミスを喫し、計測を途中断念してそのままピットへと戻った。その結果、ルクレールにチャンスが到来。若きモナコ人ドライバーはこれを逃さず両手で掴み取った。

「最高に満足だよ」とルクレール。「マラネロのみんなが素晴らしい仕事をしてくれたおかげだ。感謝しなきゃね。厳しい戦いになると思っていたけど、彼らが持ち込んでくれたハイダウンフォース・パッケージが上手く機能してくれた。僕のアタックはミスもあったし完璧とは言えないけど、こういう結果に終わって最高の気分だよ」

投じられた空力開発の成果

フェラーリは今週末、新しいノーズを含む複数のアップデートを投入。低速コーナーでのパフォーマンス改善など、SF90の弱点克服のために続けてきた開発が一定の成果をもたらした。

「本当にびっくりだよ」とルクレールは続ける。「もちろん、初日を終えてもう少しやれるって事は分かっていたけど、メルセデスやレッドブルに挑戦出来るとまでは思ってなかったからね。ホントびっくりだけど、ファクトリーのみんなの努力が実ったってことさ」

「持ち込んだ幾つかの新しいパーツは適切に機能しているし、それが分かって良かったよ。常に上手くいくわけじゃないけど、今週は上手くいってくれた。初日のクルマの感触は悪かったし、僕らにとっては厳しい一日だったけど、今日に向けてのハードワークが報われて本当に幸せだ」

マッティア・ビノット代表は、新しい空力パッケージが期待通りに機能している事について「自分たちの弱点を特定できている証であり、開発の方向性が正しい事の表れだ」と主張。今シーズンだけでなく、来シーズンにも活きてくる成果だとの考えを示した。

シンガポールGPでは、直近のドライコンディションレース3戦において、上位3グリッドがそのままの並び順でチェッカーを受けており、統計に従えばルクレールの今季3勝目の可能性は濃厚と言える。

2019年F1第15戦シンガポールグランプリ決勝レースは、日本時間9月22日(日)21時10分から行われ、1周5063mのマリーナベイ市街地コースを61周する事で勝敗を決する。

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