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71周のレースの残り22周、観客の目は2人のベテランに注がれた。42歳のフェルナンド・アロンソ(アストンマーチン)と33歳のセルジオ・ペレス(レッドブル)はF1サンパウロGPの48周目以降、スリリングな表彰台争いを繰り広げた。
DRSを取られまいと逃げを打つ2度のF1ワールドチャンピオンに対してペレスは、1秒まではすぐさま接近したものの、なかなかそれを越えられずにいた。アロンソはERSのデプロイメントを巧みに利用することで、レッドブルRB19が持つ優れた空力効率とストレートラインスピードを相殺してみせた。
そして迎えた残り2周。ペレスはDRSを使ってターン1のイン側に飛び込み、アロンソから3番手をもぎ取った。アロンソは当時を振り返って「こう思ったんだ。終わった。表彰台はもう無理だってね」と明かした。
だが、その翌周のファイナルラップに入った直後のターン1で、ペレスのブレーキングが少しばかり遅れて「1メートルほどエイペックスを逃した」瞬間をキャリア通算375戦の大ベテランは決して見逃さなかった。
「よし。ターン4で行こう」
そして狙い通り、ターン4でペレスを大外から刈り上げインフィールドを疾走。最終コーナーで走路外走行ギリギリのラインを取り、0.053秒という紙一重の差でペレスを振り切って2戦連続リタイヤからの7戦ぶりの3位表彰台に上がった。
ペレスはレース後、テレビ取材に応じるアロンソを見つけると、駆け寄ってこれに割って入り、激闘を繰り広げたライバルの肩を揉んだ。
ペレスの存在に築いたアロンソはインタビューを中断。ハグで互いの健闘を称え合った。 一体、何を話していたのか?
アロンソは笑いながら「僕はもう20歳じゃないんだから、これ以上のストレスは勘弁してくれって頼んだんだ!」と答えた。
国籍は異なれど、同じスペイン語を母語とする9歳年下のライバルとのレースについてアロンソは「クリーンな良いバトルだった」と振り返った。
「本当にアグレッシブだったけどクリーンだった。チェコとは長い付き合いだけど、彼は毎回、ハードなバトルをしながらも、相手を含めて2台をコースに留めてレースを完走するという、本当に良い記録を作ってきたと思う」
「彼が来ることは分かっていたし、脅威になることも分かっていたけど、正直に言えば、考えていた以上に厳しかった」
11月5日(日)にインテルラゴス・サーキットで行われた2023年F1第21戦サンパウロGP決勝レースでは、6台が姿を消す波乱をものともせずマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が今季17勝目を飾った。
ラスベガス市街地コースを舞台とする次戦ラスベガスGPは現地11月17日(木)のフリー走行1で幕を開ける。