ウィリアムズ、角田裕毅の2得点でリード縮小も安堵…激化するアルファタウリとの選手権7位争い
ブラジルでの角田裕毅の活躍により、一時は確定的かと思われたコンストラクターズ選手権7位争いが激化した。F1サンパウロGPのスプリントと決勝で計5点を上乗せした事で、アルファタウリはウィリアムズとのポイント差を7点にまで縮めた。
ダニエル・リカルドが1周目の多重クラッシュの犠牲となり、1ラップダウンのピットレーン・スタートとなった事で、角田裕毅は必然的にアルファタウリの期待を一手に背負う事となった。
角田裕毅はF1サンパウロGPの1周目の混乱を経て、15番グリッドから一気にポイント圏内10番手に浮上する大ジャンプを決めたものの、第1スティント中に2度に渡ってコース外にタイヤを落とし後退した。
だが、ポイントに向けた強い気持ちと冷静さ、集中力を失う事はなく、その後は堅実な走りを続けた。ソフトでの第1スティントでは終盤に向けて驚くべき事に、アルピーヌやフェラーリを上回るペースを刻み、ミドルスティントではオーバーテイクを重ねてコース上で直接、ポジションを取り戻していった。
終盤に向けてはクラッチに信頼性懸念が生じたため、シフトアップで保守的なセッティングを使わざるを得なかったが、それでも9位をつかみ取り、ウィリアムズが持つリードを2点削り取ってみせた。
ギャップが縮まったにも関わらずウィリアムズのデイブ・ロブソンは安堵した。車両パフォーマンス部門のボスは、この日のレースでアルファタウリが稼ぐポイントは2点を超える可能性が高いと考えていた。
ロブソンは「アルファタウリはチャンピオンシップ争いにおける我々とのマージンを2点縮めた。これは懸念されることではあるが、非常に力強いペースを発揮していたため、彼らが今日、これ以上ポイントを取らなかったことは我々にとって幸運だった」と振り返った。
ウィリアムズのジェームズ・ヴァウルズ代表も、この日のアルファタウリのパフォーマンスは「信じられない位に素晴らしかった」と指摘した。
リカルドの戦線離脱に加えてミスと信頼性トラブルがあった事から、アルファタウリが結果を最大化できなかった事に疑いはない。ただ、戦略面に関しても腑に落ちない部分があった。
ミディアムでの第2スティントは決して印象的とは言い難かった。にも関わらず、直接的なライバルであったメルセデスやピエール・ガスリー(アルピーヌ)よりも遥かに長くスティントを引っ張った。
内部しか知り得ない事情があったのかもしれないが、ペースとデグラデーションの両面でライバルにアドバンテージがあったと思われるソフトにいち早く履き替えていたならば、どのような展開になったのかは興味深いところだ。
ウィリアムズにとっての不運は、稼ぎ頭のアレックス・アルボンが1周目の多重クラッシュの犠牲となり早々にレースを終えた事だった。
ローガン・サージェントはニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)に対してリードを守り、ポイントまであと一歩の11位でフィニッシュした。アルボンが生き残っていれば…と思うのも無理はない。
ロブソンは「彼はアルファタウリやアルピーヌより先行してスタートした。どのポジションでフィニッシュしたのか見てみたかった」と語った。ガスリーは角田裕毅の14秒前、7位でフィニッシュした。
事故についてアルボンは「恐らくグリッドの中で一番良いスタートを切って、ハース勢を殆どオーバーテイクしかけていたのに、左にいたクルマが他の2台の影響で少しばかり不意打ち食らったみたいで寄ってきたんだ。僕にはどうしようもなかった」と振り返った。
「チャンピオンシップ争いをしている最中に、こんな形でポイントを失うわけにはいかないのに。挙げ句にはライバルに対してチャンスを与える事になってしまった」
シーズンは残すところ、初開催のラスベガスGPとアブダビGPの2戦のみ。ヴァウルズは「アブダビでのチェッカーフラッグまで大接戦になりそうだ」と予想する。
「自分たちが後手に回っていることは承知している。我々は長い間、クルマを開発していない。だが、それでも挑戦に向けての準備は整っている。コンストラクターズ選手権7位を目指して戦い続けていく」