角田裕毅を含む6名に入賞昇格の可能性…ハースがF1アメリカGP結果に再審請求、”トラリミ見逃し”を問題視
ハースF1チームがレギュレーションで許可されている再審請求権を行使し、10月22日(日)に行われた2023年F1第19戦アメリカGPのリザルトを再検討するよう国際自動車連盟(FIA)に要請したようだ。
理由は明らかにされていないが、報道によると監視体制の不備によりターン6のトラックリミットに関して見逃しがあったとされる件を問題視している。
アメリカGPではマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が予選Q3で白線を越えたためにポールポジションを逃した事が話題となった。決勝レースではターン1、6、9、11、12、13、19、20の8箇所で合計35回の違反が記録された。
ただオンボード映像の検証などから、ターン6での数十回に及ぶトラックリミットが記録されていないとの指摘の声が上がった。FIAもレース後の分析を経て「ターン6のイン側で複数名のドライバーがトラックリミットを越えた可能性に留意している」と認めた。
ターン6での走路外走行がカウントされなかったドライバーにはセルジオ・ペレス(レッドブル)やランス・ストロール(アストンマーチン)、ウィリアムズのアレックス・アルボンとローガン・サージェントが含まれると見られている。
これはターン6に設置されたCCTVカメラに不備があったためだ。スチュワードはターン6で発生したアルボンのトラックリミットをお咎めなしとしたが、その理由について「手元にある証拠では、違反が発生したと正確かつ一貫して結論づけるには不十分である」と説明し、調査に用いた証拠について「CCTVカメラは含まず」と注記を入れた。
独「AMuS」の報道によると、ハースのチームマネージャーを務めるピーター・クロラはFIAの説明に納得せず、全ドライバーの車載映像を入手し、ターン6のトラックリミットを全て洗い出した。
再審理が行われてハースの主張が認められ、ターン6でのトラックリミットにタイムペナルティが科された場合、7位のストロールと9位のアルボンはポイント圏外に、4位のペレスは10位降格となり、代わって角田裕毅が8位から6位に繰り上がり、ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)が7位昇格となるなど、トップ10に関してはリザルトが以下の並びに変動するという。
- 4:ジョージ・ラッセル(メルセデス)
- 5: ピエール・ガスリー(アルピーヌ)
- 6: 角田裕毅(アルファタウリ)
- 7:ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)
- 8:バルテリ・ボッタス(アルファロメオ)
- 9:ローガン・サージェント(ウィリアムズ)
- 10:セルジオ・ペレス(レッドブル)
再審請求権は「競技中に利用できなかった重要かつ関連する新たな証拠」が事後に見つかった場合、スチュワードの決定に対して再審理を請求する事ができるというものだ。
期限は競技終了後14日と定められており、ハースは13日目を迎えたF1サンパウロGPの週末、正式に書類を提出した。FIAが受領したとのアナウンスはまだない。
再審理のためにはまず公聴会において、事件に関する”新たな証拠”を提出し、重大かつ関連性があるとスチュワードに認めさせなければならない。証拠が認められて初めて再審理が行われ、改めて一件に関して調査が行われる。
今年7月の第10戦オーストリアGPではアストンマーチンがレース後、トラック・リミットに対するペナルティが適切に処理されていないとしてリザルトに意義を申し立てた。
調査を経てスチュワードはアストンの主張を認め、4位のカルロス・サインツ(フェラーリ)を含む8名に対して遡及的にタイムペナルティを科した。