”見事に立ち直った”角田裕毅、ハミルトンに対する「スマート」な判断を指摘するヒンチクリフ
ジェームズ・ヒンチクリフはルイス・ハミルトンに対する角田裕毅の「スマート」な判断を指摘すると共に、メルセデスを追い越し、そして引き離してみせたアルファタウリAT04のペースは「本物」だと主張した。
機を待たずに追い抜きを仕掛けてポイント獲得のチャンスを失った前戦メキシコGPを経て角田裕毅は、「罪悪感」と悔恨の思いから宿泊先の自室に籠もり、焦りに駆られた事を反省した。そして今後に活かすと誓ったその数日後、それを自らの行動と結果で示した。
角田裕毅は11月4日(土)のF1サンパウロGPシュートアウトで6番手を記録。24周に渡って行われたスプリントでは、1周目にシャルル・ルクレール(フェラーリ)に先行を許すも、その後は離されることなく1秒以内をキープし、タイヤに苦しむ7度のF1王者、ハミルトンを残り4周で仕留めて3ポイントを獲得した。
評価されるべきポイントの一つは、ターン4でイン側からハミルトンを交わすチャンスが訪れた際に無理やり飛び込まず、確実にオーバーテイクできるタイミングを待った事だろう。
メキシコでのレース直後、主に感情のコントロールという観点から角田裕毅のドライビングを分析し、改善が必要だと指摘した6度のインディカー優勝経験を誇るヒンチクリフはインテルラゴスでのスプリントを経て、学びをすぐに活かした角田裕毅を「smart(賢い、頭の回転が速い)」と表現した。
「メキシコからこれほどまでに見事、立ち直ってみせるなんて。今日は彼がターン4で2度に渡って見極めなければならなかった瞬間があったが、彼はスマートだった」
「彼は自分の方がペース的に有利だと理解していた。そしてタイミングを選んでポジションを奪い、ルイス・ハミルトンを引き離していった」
「今日こんな事が起きるなんて誰も予想していなかったんじゃないかと思う。アルファタウリのペースは本物だ」
アルファタウリは奇しくもブラジルのスプリントで、2台揃って同じイタリアを本拠とするレジェンドチーム、フェラーリを追い詰めた。
「リカルドはチームメイトと共にポイントが取れなかった事を本当に悔しく思うだろうね」とヒンチクリフは語る。
「何故なら少なくとも数メートルはカルロス・サインツからポジションを奪ったのだから。でもカルロスは毎回、順位を取り戻した。フィニッシュライン上での差はコンマ2秒に過ぎなかった」
「あと1周あれば彼はポジションを奪っていただろう。つまりそれは、今週末のタイヤマネジメントに関して言えば、アルファタウリが非常に優れたものを持っているという事だ」