イヤホンをしてマスクを着用するホンダF1の現場統括責任者を務める田辺豊治テクニカル・ディレクター、2020年F1ベルギーGPにて
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ホンダF1、ムジェロでのPUトラブルの原因を説明「再発防止を徹底、ソチでは4台入賞目指す」

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ホンダF1の現場統括責任者を務める田辺豊治テクニカル・ディレクターは2020年FIA-F1世界選手権第10戦ロシアGPに先立ち、ムジェロで開催された前戦トスカーナGPで発生したパワーユニット(PU)のトラブルは、単一要素によるものではなく、複数の要因が複雑に絡み合って発生したものであった事を明らかにした。

ホンダ製F1パワーユニット「RA620H」を搭載するRB16は、ICE(内燃エンジン)モード制限が導入されたイタリアGP以降、2戦連続で信頼性を欠いており、マックス・フェルスタッペンはモンツァとムジェロのイタリア2連戦を失意のリタイヤで終えている。

自身の責に拠らぬ理由での退場を強いられたフェルスタッペンは、ドライバーズランキングでバルテリ・ボッタスに2位の座を許すと共に、首位を走るルイス・ハミルトンとの差を80ポイントにまで拡大させる事となった。今季チャンピオンの可能性はゼロに等しい。

黒海沿岸に位置し、背後にコーカサス山脈がそびえるロシア有数のリゾート地、ソチでのグランプリを前に田辺豊治テクニカル・ディレクター(TD)は、第9戦で発生したパワーユニットの不具合の原因について次のように説明した。

「ムジェロでのレースを終えて、フェルスタッペン選手のPUに発生したトラブルの原因究明と対策を重点的に推進してきました。その結果、様々な事が複雑に絡んでトラブルが発生したことが分かりました」

「この先、再発しないように1つ1つに対策を打ってレースに臨みます」

詳細は不明であるものの、同様のトラブルがアレックス・アルボンの車体に発生していない事からも、PUの基本設計に関わる類の故障ではなさそうで、その点は朗報と言えそうだが、次戦はスパ、モンツァに続く高速3連戦のラストを飾るソチが舞台だ。PUが果たす役割は大きく、ホンダF1にとっては1つの正念場と言える。

半公道のソチ・オートドロームは、セクター2に中速の90度コーナーが連続し、最終セクターは低速コーナーで構成される一方、最終コーナーからターン1まではカレンダー中でも最長の全開区間を持つ。さらに、高速の超ロングコーナーのターン3はスロットル全開で、PUの底力が問われる。

ソチ・オートドロームのコースレイアウト図

田辺TDはシーズン後半の初戦となるロシアGPに先立って「7月の開幕以降、異例となる3回におよぶ3連戦を終え、ここから12月の最終戦に向けて後半戦を戦っていきます」と意気込みを語った。

「ロシアGPの舞台となるソチ・オートドロームは、ここまで3戦続いたスパ、モンツァ、ムジェロのような伝統的な高速サーキットとは大きく異なるタイプのトラックです。コースの一部に公道を使用してレイアウトされており、2本の長いストレートと90度コーナーが多く配されているのが特徴です」

「PUのパフォーマンスを最大限に引き出しながらも、PU起因でリタイアする事のないよう十分に準備を整えて、レッドブル・レーシング及びスクーデリア・アルファタウリの両チームのメンバーと4人のドライバーと共に、最善を尽くしていきます」

「なお、クビアト選手にとっては母国グランプリとなりますので、良いレースにしてもらいたいとも思っています」

ソチ・オートドロームは、空力大改革が行われた2017年以降は特にオーバーテイクが難しいため、予選結果が非常に重要となる。ホンダエンジン勢は過去数戦において、各マシン毎に明暗が大きく分かれる展開が続いているが、ホンダはソチでの週末に向けて「全車のポイント獲得を目指して取り組む」としている。

F1ロシアGPは、日本時間9月25日(金)17時からのフリー走行1で幕を開ける。

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