フェルスタッペン、”後押し”なくして叶わなかった逆転2位のタイヤ交換判断「コミュニケーションが肝」
レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンはF1第15戦ロシアGPで最後尾スタートながらも、最終的にタイトル争いのライバルであるルイス・ハミルトン(メルセデス)に次ぐ2位フィニッシュという大逆転劇を演じた。
5点差のポイントリーダーとしてソチ・オートドロームの週末に臨んだフェルスタッペンは、今季4基目となるパワーユニットの投入によって最後尾からのレースを強いられたものの、序盤から順調に順位を上げていき、終盤に向けて6番手にまで盛り返していた。
だがミディアムでの長き第2スティントでタイヤは本来の性能を失い、これ以上の巻き返しが困難な状況の中、最終盤に雨が路面を濡らし始めた。フェルスタッペンは残り5周で6番手の座を捨てインターミディエイトに履き替えた。
結果的にこの判断が功を奏し、フェルスタッペンはハミルトンに続く2位でチェッカーフラッグを受け、チャンピオンシップでの損失を文字通りの最小限に抑えてみせた。
大逆転のチャンスを掴み取った最後のピットストップについてフェルスタッペンは「あのラップでインターミディエイトに履き替えるかどうかを判断するのは本当に難しかった」と振り返った。
「でもとんでもなく滑りやすい状況でね。もし1周早く交換していたら、おそらく最終セクターでタイヤを駄目にしていただろうから、実に適切なタイミングでピットインを決断できたと思ってる」
「レース自体は追い抜くのが本当に難しく、一旦、別のクルマに前を塞がれてしまうとタイヤにダメージを負ってしまうため、全然楽じゃなかったんだ。でも幸運にも雨が降ってくれたおかげで、最後にジャンプアップすることができた」
チーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーは「ピットウォールにいるエンジニアと比べて、ドライバー達はコース上で遥かに多くを目にし、そして感じているからこそ、インターのためにストップするか否かの判断はマックスとチェコ(ペレス)に託したんだ」と述べ、フェルスタッペンが決断を主導したと説明したが、実際にはチームの後押しなくして逆転2位はなかったようだ。
「スリックタイヤで走っている時に雨が降ってきたら当然、ドライバーの感触が頼りになるわけで、チームは何度も僕に尋ねてきた」とフェルスタッペンは説明する。
「この手の状況ではコミュニケーションが本当に重要なんだ。ドライビング中だから無線ボタンを押せない事もあるんだけど、彼らはずっと僕に聞き続けてくれた」
「前のラップでは8秒から9秒しかタイムをロスしていなかったからステイアウトし続ける必要があるって思ってたんだけど、ピットに入ったラップではコース上にクルマを留めておくのもかなりきつかった」
「僕としてもピットに入る必要があるって思っていたんだけど、完全には確信が持てていなかったんだ。でもチームが『OK、ボックスにしよう』って言って僕にコールしてくれてね。正しい判断だったよ」
ハミルトンがキャリア通算100勝目の歴史的快挙を達成した事でチャンピオンシップでの逆転こそ許したものの、そのポイント差は僅か2点と、フェルスタッペンは当初望んでいた以上の好結果を手にした。
「ペナルティがあったにも関わらず、ポジションの差が1つだけだったわけで、全然悪くない結果さ。間違いなくね。朝起きた時には、まさかこんな結果になるとは思ってもみなかったよ」
「何ポイントを失うかという意味では、当然もっと悪い結果になっていた可能性もあるからね」
「ラインを越えた時の気分は最高だった。ここでの追い越しが如何に難しいかは誰もが知っている事だし、特に今年のミッドフィールドは本当に競争が激しいからオーバーテイクするのは本当に大変なんだ」
「当然、何人かには抜かれてしまったけど、ある時点でどうしても行き詰まってしまうんだ」
「今日はタイヤへの負担もかなり大きかった。ずっとグレイニングが出ていて、いきなりグリップがなくなってスタックしてしまい、それ以上攻める事ができなかった」
「でも雨が降ってきた時に正しい判断を下して適切なラップでピットに入る事ができたからこそ2位になれた。本当にアメージングな結果だ」