息巻くレッドブル・ホンダ、弾丸補充の負け戦で”勝利に等しい”2位「戦いの舞台は全て整った」
レッドブル・ホンダはパワーユニット交換に伴う最後尾スタートという負け戦のF1ロシアGPで、最終盤の雨をも味方につけマックス・フェルスタッペンが”勝利に等しい”2位を手にした。
大量リードを奪われる可能性があったにも関わらず、またタイトル争いのライバルであるルイス・ハミルトン(メルセデス)が歴史的な通算100勝目を挙げたにも関わらず、フェルスタッペンは新たなポイントリーダーとの差を僅か2点に留めた。
降格と引き換えに弾丸も補充した。もはやエンジン交換ペナルティを心配する必要はなく、ポイント差もないに等しい。レッドブル・ホンダのクリスチャン・ホーナー代表はソチ・オートドロームでのレースを終えて、チャンピオンシップ第2ラウンドの舞台が全て整ったと息巻いている。
「今日は20番手から2位まで巻き返した。アメージングなパフォーマンスだった」とクリスチャン・ホーナーは語る。
「ルイスの100勝目を祝福しなくてはならないが、グリッドペナルティを受けた我々にとって2位は勝利に等しい。残り6、7周の時点ではそんな事ができるとは思えなかった。今日のようなトリッキーな天候の下では、本当に容易にヒーローにもなれるが、全てを失う事もまた非常に容易だ」
「伝統的にメルセデスが非常な強さを発揮してきたこの2戦のレースを終えて、ドライバーズチャンピオンシップでのポイント差を2点に抑える事が出来た事は本当に前向きだ。エンジン交換ペナルティを消化しながらも、表彰台にまでリカバーできて満足している」
「チーム内の誰もがこの戦いを心から楽しんでいる。我々は競争力ある立場に戻ってきた。今後の終盤7戦は正しい戦略を採り力強いペースを発揮する事が決定的に重要で、ペナルティも役を演じる事なるだろう。実にエキサイティングな展開が期待できる」
ホンダ勢はフェルスタッペン、セルジオ・ペレス、ピエール・ガスリーの3台が年間上限基数を上回るPUを開封し降格ペナルティを受けているが、いずれもメルセデスとの衝突による破損か戦略的な理由によるものだ。
他方メルセデス勢は信頼性への懸念からバルテリ・ボッタスがロシアで5基目を、ニコラス・ラティフィが4基目を投じており、ハミルトンが残りの7戦で4基目を開封する可能性は益々高まっている。
フェルスタッペンが雨を味方につけた一方、ペレスは結果として判断を誤り3位表彰台を逃す事となった。
終盤に向けてペレスは45周目にダニエル・リカルド(マクラーレン)を、48周目にカルロス・サインツ(フェラーリ)を交わして表彰圏内3番手にまでポジションを上げたものの、インターへの履き替えが遅れた事で6台に先行を許した。
残り3ラップで初優勝を逃したランド・ノリス(マクラーレン)やアルファタウリ・ホンダ勢がそうであったように、小康状態が続くのか状況が悪化するのかはチーム、ドライバーによって見解が分かれるところだった。
「ピットすべきか否かを決めるのは本当に難しい」とクリスチャン・ホーナーは振り返る。
「ピットウォールのエンジニア達と比べて、ドライバー達はコース上で多くを目にし、そして感じている。そのためインターのためにストップするか否かの判断はマックスとチェコ(ペレス)に託した」
「最終的にはマックスが正しい判断を下して絶妙なタイミングでピットに入り、非常に大きな利益を得たが、チェコはピットインしない事を決断し、結果的に大きな損失を被る事になった」
「だが、最終盤が迫る中、果敢にもコース上に留まろうとしていた前方の連中がセルジオ以外にもいた事からも分かる通り、こうしたことは起き得るもので運次第といった部分もある」
「次はトルコGPだ。去年は路面が新しかったために興味深いレースになった。今回はもう少し路面が落ち着いている事を願うが本当に楽しみにしている」
「今日の結果を経てチャンピオンシップ争いの舞台は全て整った。目を見張るような戦いになるだろう」
9月26日(日)にソチ・オートドロームで行われた2021年F1第15戦ロシアグランプリ決勝レースでは、4番グリッドからスタートしたルイス・ハミルトン(メルセデス)が通算100勝目を上げた。2位はマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)。3位表彰台にはカルロス・サインツ(フェラーリ)が滑り込んだ。
イスタンブール・パーク・サーキットを舞台とする次戦トルコGPは2週間後の10月8日のフリー走行1で幕を開ける。