2023年FIA世界耐久選手権（WEC）第4戦として行われた第91回ル・マン24時間レースが6月10～11日にサルト・サーキットで行われ、フェラーリAFコルセ51号車499P（アレッサンドロ・ピエール・グイディ、ジェームス・カラド、アントニオ・ジョビナッツィ）が50年ぶりのル・マン復帰戦を総合優勝で飾った。

6連覇に挑んだトヨタ・ガズーレーシングは、夜間走行中に7号車GR010 HYBRID（マイク・コンウェイ、小林可夢偉、ホセ・マリア・ロペス）がテルトル・ルージュで玉突き事故に巻き込まれ不運のリタイヤ。8号車（セバスチャン・ブエミ、ブレンドン・ハートレー、平川亮）は最後まで首位争いに絡んだものの、1分21秒793届かず2位でフィニッシュした。

ペースという点では、イベント直前の土壇場に発表された性能調整（BoP）、豊田章男会長が言うところの「不公平とも思えるポリティクス」により、最低重量で16kg有利なフェラーリが優位に立っていたものの、両者の一騎打ちは最後までもつれた。

まずは残り105分、平川亮がアルナージュへのブレーキング時にリアをロックさせ痛恨のクラッシュ。前後エアロの交換を強いられ、15秒のギャップが3分20秒にまで拡大した。

ただ、残り25分という最終盤に今度は最後のピットストップを行った51号車フェラーリ499Pが発進できず再始動を余儀なくされ、2分30秒あった差が54秒にまで縮まった。

それでもピエール・グイディはアドバンテージを背景に再びリードを広げ、マステン・グレゴリーとヨッヘン・リントが栄冠を勝ち取った1965年以来、58年ぶりの総合優勝をフェラーリにもたらした。

3位表彰台に滑り込んだのは、1周遅れでフィニッシュしたキャデラック・レーシング2号車V-Series.R（アール・バンバー、アレックス・リン、リチャード・ウェストブルック）だった。僚友3号車（セバスチャン・ボーデ、レンガー・ヴァン・デル・ザンデ、スコット・ディクソン）はGTE Amに追突されるなど波乱に見舞われたが、それでも4位に続いた。

プジョーは序盤に好走を見せるも2台共にスピン、クラッシュにより順位を落とし、更には油圧系統のトラブルでガレージに入れられ、93号車9X8（ポール・ディ・レスタ、ミッケル・イェンセン、ジャン=エリック・ベルニュ）が8位、94号車（ロイック・デュバル、グスタボ・メネゼス、ニコ・ミュラー）が27位に終わった。

3台のLMDhマシン「963」を投じた耐久王、ポルシェ・ペンスキーは散々な結果に終わった。75号車は燃圧トラブルによりリタイアを喫し、6号車はポルシェカーブでクラッシュを喫して戦線離脱の22位。5号車はパンクや冷却水漏れを含む幾つものメカニカルトラブルに見舞われ9位に終わった。

NBAのスーパースター、レブロン・ジェームズがスターターを務めた100周年記念の本大会は、3カテゴリー計62台がレースに臨んだものの、大雨の影響もあり前半はクラッシュやスピン、コースアウトが続出する大荒れの展開となり、リタイヤ22台、完走40台という結果となった。

LMP2クラスはインター・ユーロポール34号車（ヤコブ・シメホウスキー、アルベルト・コスタ、ファビオ・シェーラー）がチームWRT（ルイ・アンドラーデ、ルイ・デレトラズ、ロバート・クビサ）を21.015秒という僅差で破りクラス優勝を果たした。

LMGTE Amクラスはコルベット・レーシング33号車（ニック・キャッツバーグ、ベン・キーティング、ニコラス・ヴァローネ）がORT by TF 25号車（アハマド・アル・ハーティ、マイケル・ディナン、チャーリー・イーストウッド）に2分差をつけて勝ち取った。

トヨタ以外の日本勢は、フェラーリ488 GTE Evoで参戦したケッセル・レーシング74号車（ケイ・コッツォリーノ、辻子依旦、横溝直輝）がLMGTE Amクラス9位でチェッカーを受けたものの、他の2台はフィニッシュを前に姿を消した。

僚友57号車（木村武史、スコット・ハファカー、ダニエル・セラ）はクラッシュを経てリタイヤし、Dステーション・レーシング777号車（星野敏、キャスパー・スティーブンソン、藤井誠暢）は夜明けを前に、ミュルサンヌ・コーナー出口付近でパワーを失った。

ガレージ56枠のNASCARシボレー・カマロZL1（ジミー・ジョンソン、マイク・ロッケンフェラー、ジェンソン・バトン）は終盤に向けてGTE Am全車を上回るポジションを走行していたものの、ギアボックス交換により大きくタイムをロス。総合39位でレースを終えた。

ハイパーカー

1. フェラーリAFコルセ51号車
2. トヨタ・ガズーレーシング8号車
3. キャデラック・レーシング2号車

LMP2

1. インター・ユーロポール34号車
2. チームWRT41号車
3. デュケーヌ・チーム30号車

LM GTE Am

1. コルベット・レーシング33号車
2. ORT by TF 25号車
3. GRレーシング86号車

2023年ル・マン24時間レース総合結果