不振のペレス、重要会議を経てレッドブルF1シートを維持…角田裕毅のRBもラインナップを継続
レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表とモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコは、F1ベルギーGPの翌日に行われた会議を経て、セルジオ・ペレスの続投を決断した。
2024年シーズンの期待外れのパフォーマンスを受け、レッドブルの幹部らは7月29日(月)、英国ミルトンキーンズの本拠で34歳のメキシコ人ドライバーの将来について協議した。
マックス・フェルスタッペンの母国オランダのデ・テレグラーフ紙は、ホーナーが会議を経て従業員に対し、「最近の様々な憶測にもかかわらず、チェコはレッドブル・レーシングのドライバーのままだ。彼がこれまで好成績を収めてきたサーキットで活躍するのを見るのが楽しみだ」と語ったと報じた。
ヨーロッパの主要報道メディアはこぞってペレスの続投を伝えた。レッドブルの広報担当者はBBCに対し、報道が正確であると認めた。
リリースを通じたチームとしての正式発表はないが、マルコの示唆的な発言を除いてチームはこれまで、ペレスの解雇を検討していると公式に明らかにはしていない。そのため、契約期間内にあるペレスを解雇しないとチームがわざわざ発表することは考えにくく、公式発表が行われることはないとみられる。
ペレスの後任候補にはレッドブルの姉妹チームであるRBの角田裕毅とダニエル・リカルド、そして両チームのリザーブ・ドライバーを務めるリアム・ローソンの名前が挙げられていた。
レッドブルの広報担当者はRBのドライバーラインナップに変更がないことを合わせて確認した。
ペレスは今年6月初旬に新たな2年契約を結んだが、5月初旬のマイアミGP以降は7位以上でフィニッシュできておらず、選手権をリードするフェルスタッペンが141点を加算した一方、過去7戦でのポイント獲得は僅か28ポイントに留まる。
ペレスの不調はレッドブルの深刻な懸念をもたらした。マクラーレンはシーズン前半戦を経てコンストラクターズ選手権首位につけるレッドブルとの差を僅か42ポイントにまで縮めた。
ペレスがタイトル争いに貢献できていない状況についてホーナーが「擁護できない」「片足だけで歩き続けることはできない」と認め、ペレスの契約には成績次第で契約を解除できるパフォーマンス条項が存在すること等から様々な憶測が飛び交った。
重要会議を翌日に控えたベルギーGPでペレスは、9戦ぶりの最前列を結果に繋げることができず、エンジン交換ペナルティを受け11番手からスタートしたフェルスタッペンから3ポジションダウンの7位でレースを終えた。
ペレスは「完全に崩壊した」と厳しく評価したことから、月曜の会議でマルコはドライバー交代を主張するものと思われた。だがおそらくはホーナーの意向だろう、会議では夏休み後のオランダGPを含む2024年の残りのシーズンでペレスがシートを維持することが決定された。
ペレスがフェルスタッペンに匹敵するパフォーマンスを発揮できていないことは明らかだが、3度のF1ワールドチャンピオンは、ペレスの不振は単にクルマの競争力不足の表れであり、クルマの実力そのものだと見ている節がある。
スパでのレースを経てフェルスタッペンは、ペレスの将来について口を閉ざし、「僕らの最優先事項はクルマだ。今、集中すべきはそこだ」と述べ、「僕の見解ではチェコの週末はポジティブだった」と付け加えた。
フェルスタッペンの意向はドライバーラインナップに多大な影響力を持つと見られる。
かつてとは異なり、今やマルコよりも強いドライバー人事権を持つと見られるホーナーは、スパでのペレスのパフォーマンスは月曜の会議の結論に「影響しない」と説明し、「チェコが苦しむ姿は誰も見たくない。誰もが彼の成功を望んでいる」と述べるとともに、挽回のための更なる時間をペレスに与えることを示唆していた。