FIA会長、アンドレッティ問題で突如方針転換…既存チームを買収するよう助言
モハメド・ベン・スレイエムFIA会長はGM傘下のキャデラックと提携してF1への新規参戦を目指すマイケル・アンドレッティに対し、11番目のチームとしてではなく、既存チームを買収してF1に参戦するよう促した。
ベン・スレイエムは一貫して、国際自動車連盟(FIA)の厳格な審査を通過したアンドレッティの11番目のチームとしての参戦を支持してきたが、チーム数を増やすという考えを引き続き維持する一方、量より質の方が重要であるとして、買収するよう助言した。
モナコでロイター通信とのインタビューに応じたベン・スレイエムは「私は彼ら(アンドレッティ)に、11番目のチームとしてではなく、別のチームを買うようにアドバイスしたい」と語った。
「幾つかのチームは刷新が必要だと思う。11チームと、強力な10チーム。どちらが良いだろうか?」
「私は今も、もっと多くのチームを持つべきだと思っているが、どんなチームでも良いわけではない。適切なチームであるべきだ」
名前を挙げる事を避けつつもベン・スレイエムは「パフォーマンスに苦戦し、さらには経営にも苦戦」している幾つかのチームがあると指摘した。
アルピーヌとハースを念頭に置いた発言と考えられるが、アルピーヌのオーナーであるルノーと、ハースを所有するアメリカ人実業家のジーン・ハースは共に、売却に興味がないと見られている。
ただしジーン・ハースは現地5月28日(火)、共同オーナーのトニー・スチュワートと共に、2024年シーズン末を以てNASCARに参戦するスチュワート・ハース・レーシングの事業を終了すると発表した。F1チームの今後の計画に注目が集まる事は疑いない。
ベン・スレイエムが方針を転換した背景には、FIAとフォーミュラ・ワン・マネジメント(FOM)との関係改善があるものと考えられる。両者は5月中旬に共同声明を発表し、緊張緩和に向けて歩み寄る姿勢を明確にした。
アンドレッティは昨年10月、FIAから技術的・資本的観点から承認を得たものの、FOMは今年1月、チームの競争力を疑問視し、またF1に付加価値をもたらすとは思えない等として、参戦を却下した。
計画が宙に浮いたにも関わらずアンドレッティは、F1プロジェクトに関わる従業員の雇用を更に進め、今年4月にはイギリスのシルバーストンに新たなファクトリー完成させ、モナコGPに先立っては、2026年に導入される新たな技術規定の策定において主導的な役割を果たしたF1の元最高技術責任者(CTO)、パット・シモンズの起用を発表した。
アンドレッティの参戦を巡る状況は最近、エスカレートしている。
下院司法委員会は5月21日を回答期限として調査を開始し、影響力のある上院議員のグループは司法省と連邦取引委員会に対して、F1に対する独占禁止法調査の開始を求めている。
また、マリオ・アンドレッティによると、F1の商業権保有者である米リバティ・メディアのグレッグ・マフェイCEOはマイアミで、アンドレッティの新規F1参戦を阻止するために「全力を尽くす」と警告したという。