
F1モナコGP限定の2ストップ制導入が正式決定、チーム戦略はどう変わる?ルール詳細と変更点を解説
国際自動車連盟(FIA)はF1モナコGPにおいて、すべてのドライバーに2回の義務的ピットストップを課す新たなルールを承認した。これは同グランプリで問題視されていたオーバーテイクの難しさを軽減し、レースのエンターテイメント性を向上させることを目的としている。
変更の概要
モンテカルロ限定となるこの新ルールは、2月26日の世界モータースポーツ評議会(WMSC)で正式に決定され、2025年5月23日〜25日に開催されるモナコGPで初めて適用される。
- 最低2回のピットストップ義務(従来は1回が最低条件)
- レース中に最低3セットのタイヤを使用
- ドライコンディションの場合、異なる2種類のタイヤコンパウンドを使用
- ウェットコンディションにも適用
FIAの声明によれば、「この変更は、F1コミッションでの最近の議論を経て決定され、モナコGPの特性を考慮した上で、レースの魅力を向上させることを目的としている」とのこと。
モナコGPの課題と背景
モナコGPはF1の中でも最も歴史がある象徴的なレースの一つだが、その狭い市街地コースはオーバーテイクが極めて難しいことで知られている。特に近年のF1マシンのサイズが拡大したことで、レース中の順位変動が一層、少なくなり、戦略的な選択肢が限られる状況が続いていた。
昨年のモナコGPでは、序盤の赤旗中断により多くのドライバーがタイヤ交換を行い、その後のピットストップ回数が極端に減少。最終的に、レース中に通常のピットストップを行ったドライバーはわずか6名にとどまった。このような状況を踏まえ、FIAは2ストップ義務化という解決策を打ち出した。
ドライバーを含む反応
モナコ出身のシャルル・ルクレール(フェラーリ)はこの変更について、「モナコの予選はF1で最もエキサイティングな瞬間の一つだけど、レースはどうしてもプロセッショナル(行進的)になりがちだった。この新ルールがレースをより面白くすることを期待している」とコメントしている。
一方で、慎重な意見も聞かれる。特にモナコGPはピットレーンが狭く、通常のレースよりもピット作業のリスクが高いため、2回のストップを義務付けることで混乱が生じる可能性もある。
戦略の変化と展望
このルール変更により、チームは戦略の見直しを迫られる可能性がある。
- タイヤ選択:従来の1ストップ戦略では、トラックポジション重視で耐久性の高いタイヤを選択することが主流だったが、新ルールではより柔らかいタイヤの出番が増えることが予想される
- アンダーカット/オーバーカット:柔らかいタイヤが使われることで、アンダーカット/オーバーカットが以前より有効に機能する可能性が出てくる