ピアストリ3連勝、角田は”不可視戦”を制し入賞―フェラーリでは緊迫オーダー / F1マイアミGP 2025《決勝》結果と詳報

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2025年FIA-F1世界選手権第6戦マイアミGPの決勝が現地時間5月4日に行われ、予選4番手のオスカー・ピアストリ(マクラーレン)が、バーレーン、サウジアラビアに続く3連勝を飾り、ドライバーズ選手権争いでのリードを拡大した。角田裕毅(レッドブル)は、“見えない相手との争い”を制して10位入賞を果たした。

2番グリッドからスタートしたランド・ノリスは、1周目のターン2で行き場を失い、一気に6番手まで後退するも、メルセデス勢を次々と攻略。激しい攻防を経てマックス・フェルスタッペン(レッドブル)を交わし、ピアストリに4.630秒差の2位に続いた。これにより、マクラーレンは1-2フィニッシュを達成した。

3位表彰台にはジョージ・ラッセル(メルセデス)が上がったが、ピアストリとの差は実に37.644秒と、マクラーレンの圧倒的なレースペースが際立つ結果となった。

1-2フィニッシュを経て健闘を称え合うマクラーレンのオスカー・ピアストリとランド・ノリス、2025年5月4日(日) F1マイアミGP決勝(マイアミ・インターナショナル・オートドローム)Courtesy Of McLaren

1-2フィニッシュを経て健闘を称え合うマクラーレンのオスカー・ピアストリとランド・ノリス、2025年5月4日(日) F1マイアミGP決勝(マイアミ・インターナショナル・オートドローム)

フェルスタッペン、マクラーレンに完敗

ポールポジションからスタートしたフェルスタッペンは、マシンの戦闘力不足とバーチャル・セーフティーカー(VSC)の不運により、マイアミで続く「ポールシッターが勝てないジンクス」を覆せず4位に終わった。

タイヤとブレーキの両方に苦しむ中、14周目にピアストリにトップを明け渡すとその後はノリスとの攻防へと転じた。17周目のターン11でノリスに前を許すも、ターン17で再び抜き返し、ポジションを維持。しかし翌18周目、再びターン11でノリスに攻略され、3番手に後退した。

これにより1-2体制を築いたマクラーレンの2台は以降、互いにファステストラップを刻みながら、瞬く間にフェルスタッペンを引き離していった。

アレックス・アルボン(ウィリアムズ)は素晴らしい走りを以て堂々の5位入賞を果たした。アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)は、3ポジションダウンの6位に終わった。

スタート直後、RB21を駆るマックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)がランド・ノリスとオスカー・ピアストリ(いずれもマクラーレン)をリードする様子、2025年5月4日(日) F1マイアミGP決勝(マイアミ・インターナショナル・オートドローム)Courtesy Of Red Bull Content Pool

スタート直後、RB21を駆るマックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)がランド・ノリスとオスカー・ピアストリ(いずれもマクラーレン)をリードする様子、2025年5月4日(日) F1マイアミGP決勝(マイアミ・インターナショナル・オートドローム)

結果を左右したベアマン発のVSC

レース結果を左右した要因の1つは、27周目に導入されたVSCだった。オリバー・ベアマン(ハース)がエンジントラブルとみられる白煙を上げ、ターン8で停止。このタイミングでマクラーレン勢とラッセルを含む複数のドライバーがピットインし、大きなアドバンテージを得た。

一方、フェルスタッペンはVSC導入のわずか1周前にピットを終えており、タイミングに泣かされた。角田もまた、ハードタイヤに履き替えピットを出た直後、ベアマンのトラブルを文字通り”目の前”で目撃する形となった。

角田、懲罰を受けながらも1点獲得

角田はオープニングラップでエステバン・オコン(ハース)を交わし、幸先の良いスタートを切ったが、ピットストップの際にピットレーンの制限速度を超過。レース後に5秒のタイム加算ペナルティを受けることとなった。

そのため、レース終盤は前後ともに他車がいない“孤独なレース”となりつつも、背後のアイザック・ハジャー(レーシング・ブルズ)との差を広げる必要に迫られた。だがペースは安定せず、さらにクリーンエアー下ではフェルスタッペンとの差が1周あたり1秒近くにまで達するなど苦戦を強いられた。

それでも最終的には、ハジャーに5.167秒差をつけてフィニッシュ。ギリギリのところで10位入賞を果たし、貴重な1ポイントを獲得した。

フェラーリ、チームオーダーを巡る緊張

週末を通して存在感のなかったフェラーリ勢は、シャルル・ルクレールが7位、ルイス・ハミルトンが8位に終わった。一方で終盤に向けては、チームオーダーを巡る緊張した場面が注目を集めた。

ルクレールがハードタイヤ、ハミルトンがミディアムで異なる戦略を採る中、ペースで勝るハミルトンはルクレールに追いつくと「彼の後ろにいるせいでタイヤが終わる。ずっとここに座ってろってこと?」と暗にポジション変更を要求したが、フェラーリはこれを渋った。

ハミルトンがさらに、「これはチームワークとは言えない、それだけ言っておく」と苛立ちをあらわにすると、その直後の40周目、バックストレートで順位を入れ替えた。ハミルトンは、「中国では、戦略違いという理由で僕が譲っただろ。お茶飲んでくつろいでる場合じゃないんだから、頼むよ!」とチームに苦言を呈した。

交代後は、ルクレールが「ルイスにはもっと速く走ってもらわないと困る。今じゃ僕がダーティエアを浴びてるだけだ」と不満を表明した。

結局、ハミルトンは前走アントネッリとの差を詰めるには至らず、52周目にルクレールへのポジション返上が指示された。その際、ハミルトンには後方1.4秒の位置にカルロス・サインツ(ウィリアムズ)がいることが伝えられた。これに対してハミルトンは「で?サインツにも抜かせろってこと?」と皮肉混じりに応じた。

その後、サインツは追い上げを続け、最終ラップの最終コーナーでハミルトンと軽く接触。0.4秒差でハミルトンが8位を死守した。

3度のVSC、波乱のレース展開

懸念された降雨はなかったものの、マイアミ・インターナショナル・オートドロームを57周することで争われた決勝は、計3度のVSCが導入される波乱の展開となった。

1回目のVSCは2周目。ジャック・ドゥーハン(アルピーヌ)がスタート直後のターン1でリアム・ローソン(レーシング・ブルズ)と接触し、パンクに見舞われた。自走でピットへ戻ろうとしたが、ターン14付近でマシンを停止し、これに伴いVSCが導入された。

接触の影響でローソンも最後尾まで後退。レースは続けたものの、マシンの損傷は大きく、38周目にピットへ戻り、クルマをガレージに入れた。

33周目には、ベアマンと同じフェラーリ製パワーユニットを搭載するザウバーのガブリエル・ボルトレートが、バックストレート上でストップ。これにより3回目のVSCが導入された。

2025年F1第6戦マイアミGP決勝リザルト

Pos No Driver Team Laps Time PTS
1 81 オスカー・ピアストリ マクラーレン・メルセデス 57 1:28:51.587 25
2 4 ランド・ノリス マクラーレン・メルセデス 57 +4.630s 18
3 63 ジョージ・ラッセル メルセデス 57 +37.644s 15
4 1 マックス・フェルスタッペン レッドブル・ホンダRBPT 57 +39.956s 12
5 23 アレックス・アルボン ウィリアムズ・メルセデス 57 +48.067s 10
6 12 アンドレア・キミ・アントネッリ メルセデス 57 +55.502s 8
7 16 シャルル・ルクレール フェラーリ 57 +57.036s 6
8 44 ルイス・ハミルトン フェラーリ 57 +60.186s 4
9 55 カルロス・サインツ ウィリアムズ・メルセデス 57 +60.577s 2
10 22 角田裕毅 レッドブル・ホンダRBPT 57 +74.434s 1
11 6 アイザック・ハジャー レーシングブルズ・ホンダRBPT 57 +74.602s 0
12 31 エステバン・オコン ハース・フェラーリ 57 +82.006s 0
13 10 ピエール・ガスリー アルピーヌ・ルノー 57 +90.445s 0
14 27 ニコ・ヒュルケンベルグ ザウバー・フェラーリ 56 +1 lap 0
15 14 フェルナンド・アロンソ アストンマーチン・メルセデス 56 +1 lap 0
16 18 ランス・ストロール アストンマーチン・メルセデス 56 +1 lap 0
NC 30 リアム・ローソン レーシングブルズ・ホンダRBPT 36 DNF 0
NC 5 ガブリエル・ボルトレート ザウバー・フェラーリ 30 DNF 0
NC 87 オリバー・ベアマン ハース・フェラーリ 27 DNF 0
NC 7 ジャック・ドゥーハン アルピーヌ・ルノー 0 DNF 0

コンディション

天気晴れ
気温26℃
路面温度41℃

セッション概要

グランプリ名 F1マイアミGP
レース種別 決勝
レース開始日時

サーキット

名称 マイアミ・インターナショナル・オートドローム
設立 2022年
全長 5412m
コーナー数 19
周回方向 時計回り

F1マイアミGP特集