トップチェッカーを受けるマックス・フェルスタッペンを迎えるレッドブルのメンバー、2022年5月8日F1マイアミGP決勝レース
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フェルスタッペンが逆転今季3勝「信じられない!」角田裕毅は後退…終盤に事故連発 / F1マイアミGP《決勝》結果とダイジェスト

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2022シーズンFIA-F1世界選手権 第5戦マイアミGP決勝レースが5月8日に行われ、予選3番手のマックス・フェルスタッペン(レッドブル)がポールシッターのシャルル・ルクレール(フェラーリ)を3.786秒引き離し、今季3回目の優勝を飾った。

油圧トラブルによってFP2を失う厳しい出だしを強いられた24歳のオランダ人ドライバーは、走行不足のままに予選に臨んで3番グリッドについた。決勝ではスタート直後に2番手に浮上し、序盤にルクレールを交わして首位に。セーフティーカー(SC)の導入によって終盤にギャップがリセットされながらも、跳馬の追撃を見事交わし切った。ファステストラップを加えた満額26点を手にした。

表彰台の上でNFLのヘルメットを掲げるマックス・フェルスタッペン(レッドブル)と、2位シャルル・ルクレール、3位カルロス・サインツのフェラーリ勢、2022年5月8日F1マイアミGP決勝レースCourtesy Of Red Bull Content Pool

表彰台の上でNFLのヘルメットを掲げるマックス・フェルスタッペン(レッドブル)と、2位シャルル・ルクレール、3位カルロス・サインツのフェラーリ勢、2022年5月8日F1マイアミGP決勝レース

初開催のマイアミで初代ウィナーに輝いたフェルスタッペンは「信じられないようなグランプリになった! 身体的に本当にキツかったし、マイアミで勝てて最高に嬉しい。信じられないような日曜日だった」と喜びを口にした。気温は一時、32℃近くにまで上昇した。

4番グリッドのセルジオ・ペレスは表彰台に迫ったものの、20周目に一時的ながらもエンジンパワーが失われ7秒近くをロス。最終盤にオーバーテイクを仕掛けたものの及ばず、カルロス・サインツが3位フィニッシュを飾り、跳馬2台がフェルスタッペンに次ぐポディウムに上がった。エンジンセンサーのトラブルだった

アルファタウリ勢にとっては悪夢のレースとなった。両者は入賞圏内からスタートするも、角田裕毅はミディアムでの第1スティントでペースが上がらずズルズル後退。最下位を争うような状況で13位フィニッシュした。ピエール・ガスリーは辛うじてトップ10圏内を走行していたものの、2度の追突を受けリタイヤした。

後続に追われるアルファタウリの角田裕毅、2022年5月8日F1マイアミGP決勝レースCourtesy Of Red Bull Content Pool

後続に追われるアルファタウリの角田裕毅、2022年5月8日F1マイアミGP決勝レース

レッドブルとフェラーリの他にはメルセデスとアルピーヌが2台揃って入賞圏内でフィニッシュした。

ジョージ・ラッセルはSCによって大きなゲインを得て5位。ルイス・ハミルトンが6位に続いてメルセデスが3番目のチームとして結果を残した。

アルピーヌ勢は、タイヤ交換に手間取りピットストップで3秒近くタイムを失ったフェルナンド・アロンソが8位フィニッシュを経て、ガスリーとのクラッシュによる5秒ペナルティによって9位降格となり、予選欠場によって最後尾からスタートしたエステバン・オコンが8位を手にした。

メルセデス勢とアルピーヌ勢との間、7位にはバルテリ・ボッタス(アルファロメオ)が入り、アレックス・アルボン(ウィリアムズ)が第3戦オーストラリアGPに続き殊勲10位に滑り込んだ。

ただ、11位フィニッシュしたダニエル・リカルド(マクラーレン)と9位アロンソが共に、コース外走行によってアドバンテージを得たとして5秒ペナルティを受け、各々13位と11位に後退したため、これに代わってアルボンが9位、ウェーピング行為により黒白旗が振られたランス・ストロール(アストンマーチン)が10位、角田裕毅が12位に昇格した。

レース概要

決勝は日本時間8日(日)28時30分にフォーメーションラップを迎え、1周5,412mのコースを57周する事で争われた。現地マイアミは雲量が多く事前に小雨が降る中、チャンピオンシップポイントを争う決勝は気温30.1℃、路面39℃、湿度60%、気圧1009.4hPaのドライコンディションで開始された。

公式タイヤサプライヤーのピレリは中間レンジのC2からC4までのコンパウンドを投入。レースでは最低2種類のコンパウンドを使用する義務があり、ミディアムからハードに繋ぐ1ストッパーが主流となった。ウィリアムズ、アストンマーチン、そしてラッセルの計5台がハードを、その他はミディアムを履いてグリッドについた。

また、アストンマーチン勢は燃料温度に伴う問題が発生したために、ピットレーンからのスタートを選択した。

パドックではバスケの神、マイケル・ジョーダンや音楽プロデューサーのファレル・ウィリアムス、セリーナ・ウィリアムズ、デビッド・ベッカムと言った多くのセレブリティ達が世界最高峰のレーシングドライバー達の戦いを見守った。

注目のオープニングラップでは、フェルスタッペンがターン1でサインツに並びかけ2番手に浮上。アロンソはターン2でハミルトンの左リアと軽く接触する場面があったが、4ポジションを上げ、リカルドとミック・シューマッハ(ハース)も各々3ポジションを上げた。

逆にメルセデス勢はハミルトンが2ポジション、ラッセルが3ポジションと、揃って順位を下げ、角田裕毅も1ポジションを失い、周冠宇はテクニカルトラブルに見舞われて5周目にピットに入りリタイヤした。

フェルスタッペンは9周目のホームストレートでDRSを使ってトップに浮上。その後はルクレールとのギャップをジワジワ広げていった。

首位奪還を目指すルクレールは25周目にハードタイヤに交換。レッドブルはカウンターを打ち、翌周にフェルスタッペンをピットに呼んでハードを履かせた。更にその翌周にはサインツとペレスがピットイン。右前輪が入らず、サインツは2秒近くを失った。

クリーンなレースが続いていたものの、終盤に差し掛かると立て続けにアクシデントが発生。その渦中で犠牲となったのはガスリーだった。

まずは39周目。追い抜きを仕掛けたアロンソがガスリーの右リアタイヤに接触。ガスリーはポジションを2つ落とした。スチュワードはアロンソに非があるとして5秒ペナルティを科した。アロンソはレース後、ガスリーに謝罪した。

続く41周目にはランド・ノリス(マクラーレン)がオーバーテイクを仕掛けた際にガスリーの左前輪と接触。バーチャル・セーフティーカー(VSC)を経てSCが導入された。ノリスは右リアを失いリタイアした。

第一スティント引っ張っていたラッセルはこれを好機にタイヤを交換。アドバンテージを得た。フリーストップを得た4番手ペレスもミディアムタイヤに交換。オコン、ガスリー、リカルド、角田裕毅はソフトタイヤに交換した。

ガスリーは隊列後方に並んだものの、車体の右後方が損傷した可能性があるとしてSC先導中に再びピットに入り、そのままクルマを降りた。

レースは残り11周、47周目にリスタートを迎えた。49周目にDRSが解禁されると、5番手を走行していたボッタスがバックストレートでコースオフ。メルセデスの2台が揃ってポジションを上げた。

ラッセルはその翌周にチームメイトを交わして5番手に浮上したが、コース外走行に対するペナルティを恐れてか、一旦後退した後、再びハミルトンを抜いて5番手に浮上した。

更に54周目には入賞圏内9・10番手を走行していたシューマッハとセバスチャン・ベッテルが(アストンマーチン)ターン1でクラッシュ。両者共にマシンにダメージを負い、シューマッハは辛うじてコースに戻ったが、ベッテルはリタイヤを喫した。

ルクレールは一時、首位に迫ったものの仕掛けるには至らず、フェルスタッペンが逆転のトップチェッカーを受けた。

2022年F1第5戦マイアミGP決勝リザルト

Pos No Driver Team Laps Time PTS
1 1 マックス・フェルスタッペン レッドブル 57 1:34:24.258 26
2 16 シャルル・ルクレール フェラーリ 57 +3.786s 18
3 55 カルロス・サインツ フェラーリ 57 +8.229s 15
4 11 セルジオ・ペレス レッドブル 57 +10.638s 12
5 63 ジョージ・ラッセル メルセデス 57 +18.582s 10
6 44 ルイス・ハミルトン メルセデス 57 +21.368s 8
7 77 バルテリ・ボッタス アルファロメオ・フェラーリ 57 +25.073s 6
8 31 エステバン・オコン アルピーヌ・ルノー 57 +28.386s 4
9 23 アレックス・アルボン ウィリアムズ・メルセデス 57 +32.365s 2
10 18 ランス・ストロール アストンマーチン・メルセデス 57 +37.026s 1
11 14 フェルナンド・アロンソ アルピーヌ・ルノー 57 +37.128s 0
12 22 角田裕毅 アルファタウリ 57 +40.146s 0
13 3 ダニエル・リカルド マクラーレン・メルセデス 57 +40.902s 0
14 6 ニコラス・ラティフィ ウィリアムズ・メルセデス 57 +49.936s 0
15 47 ミック・シューマッハ ハース・フェラーリ 57 +73.305s 0
16 20 ケビン・マグヌッセン ハース・フェラーリ 56 DNF 0
17 5 セバスチャン・ベッテル アストンマーチン・メルセデス 54 DNF 0
NC 10 ピエール・ガスリー アルファタウリ 45 DNF 0
NC 4 ランド・ノリス マクラーレン・メルセデス 39 DNF 0
NC 24 周冠宇 アルファロメオ・フェラーリ 6 DNF 0

コンディション

天気晴れ
気温30.1℃
路面温度39℃
周回数57

セッション概要

グランプリ名 F1マイアミGP
レース種別 決勝
レース開始日時

サーキット

名称 マイアミ・インターナショナル・オートドローム
設立 2022年
全長 5412m
コーナー数 19
周回方向 時計回り

F1マイアミGP特集