メルセデスF1、2020年新車「W11」のデザイン及びINEOSとの大型契約締結を発表
F1世界選手権に参戦するメルセデスAMG・ペトロナスF1チームは2月10日(月)、英国ロンドンのイギリス王立自動車クラブ本部にてイベントを行い、2020年型F1マシン「W11」のマシンカラーリング及び、イネオス社(INEOS)との大型契約を発表した。契約年数は5年。
イベントは極秘扱いとされ、開始1時間前というギリギリのタイミングで公にされた。メルセデスはもとより、2月14日(金)に英国シルバーストン・サーキットで新車「W11」のシェイクダウンを行う計画を明らかにしており、同日にメディア向けにマシンデザインが公開される予定であったため、不意打ちでの発表となった。
2020年型の新車「W11」のデザイン
新車デザインはチーム代表を務めるトト・ウォルフとイネオス社の創業者にしてCEO兼会長を務めるジム・ラットクリフスによってアンベイルされた。実車は14日に公開される。
全体的なカラーリングとしては、コックピットから後ろのボディーワーク全体に無数のスリーポインテッドスターがあしらわれるなど、昨年を踏襲しているが、エンジンへの吸気を担うエアインテーク部やリアの衝撃吸収構造部、フロントウイング翼端板の内側にはエネオスのロゴと赤色が配置されており、新鮮味を感じさせる。
残留を強く後押しするイネオスとの5年契約
イネオス社はイギリス・ロンドンに本拠を構える多国籍化学企業で、設立22年という若い会社ながらも企業買収を繰り返し、今や年間約600億ドル、日本円にして約6兆5000億円もの売上を誇る世界有数の地位を築いている。
ジム・ラットクリフス会長は、スポーツ界へのスポンサー活動にも積極的で、スイスのサッカークラブ「FCローザンヌ・スポルト」のオーナーである他、昨年は自転車ロードレースの強豪「チームスカイ」の新たなメインスポンサーとなり、チーム名を「チーム・イネオス」へと改称させた。
メルセデスは昨年12月、応用化学部門を通じて、チーム・イネオス及び第36回アメリカズカップに挑戦するイネオス・チームUKと提携。今回はパートナーシップを更に拡大させ、イネオス社をF1チームのメインスポンサーとして迎え入れた。本パフォーマンスパートナーシップによって両者は、空力やシミュレーション、設計および精密工学に至るまで幅広い領域で技術的能力を活用し合う。
親会社ダイムラーが大規模なコスト削減計画を打ち出した事から、今季末を以てメルセデスがF1から撤退するのではとも騒がれていたが、イネオスとの提携はシルバーアローのF1残留を強く後押しするものと言える。メルセデスはペトロナスに加えて、新たな資金的バックアップを手にした事になる。