ピット作業を行うメルセデスF1、オーストリアGP決勝レースにてcopyright Mercedes

メルセデスF1、気温35度以上で死亡フラグ「オーバーヒートはW10の根本的課題」

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メルセデスAMGの2019年型F1マシン「W10」は、空力効率を最優先にタイトなパッケージングを追求した結果、ラジエーターのサイズを限界まで小型化。その結果として冷却性能に課題を抱えているが、概ね気温が35度を超えると限界に達するようだ。

先日のF1オーストリアGPでは、午前のプラクティスを除いて連日気温が30度を超える暑さとなった。レッドブル・リンクは海抜700mの高地に位置しており、気圧と気温により変動するものの、平地と比べると約7%ほど空気が薄い。つまりマシンのクーリングに使える空気量が少なく、余計にオーバーヒートが発生しやすい。

メキシコGPの舞台、エルマノス・ロドリゲス・サーキットもまた高地に位置しており、こちらは海抜0m地点と比較して22%も空気が薄く、メルセデスは昨年のグランプリでエンジン出力を下げての走行を強いられていた。高出力のエンジンほど高い冷却性能が要求されるため、オーバーヒートはPU性能の高さの裏返しとも言える。

ルイス・ハミルトンとバルテリ・ボッタスは現地シュピールベルクの午後に開催されたFP2、予選、決勝の3つのセッションで冷却に苦しみ、決勝レースではエンジンパワーを落としつつ、1周の内の10%程でリフトアンドコーストを強いられた。直線区間でのアクセルオンの時間を短くすることで、温度を下げる必要に迫られたのだ。

その結果、シルバーアローの2台のトップスピードは大きく低下。4つあるスピード計測地点の多くでライバルに先行を許し、スピードトラップでは下から2番目という有様であった。レースを振り返ったトト・ウォルフ代表は、オーバーヒートのために他車と争うような状況ではなかったとして「生き残ることが精一杯」であったと説明した。

2019年F1オーストリアGP決勝スピードトラップ

メルセデスのコースサイド担当エンジニアリングディレクターを務めるアンドリュー・ショブリンは、W10の冷却問題はマシンの基本コンセプトに起因する根本的なものだと説明。オーストリアの週末では、ボディーワークの開口部を拡大することでこれに対処していたと明かした。

「高熱からパワーユニットを保護するための方法としては、主にボディワークの開口部を広げる手法がある」とショブリン。「オーストリアでは気温が35度まで上昇していたが、これは開口部の拡大によって対処できる限界ギリギリの気温だった」

「我々のクルマは、殆ど全てのサーキットで高い競争力を発揮できるはずだが、やるべき仕事は山積みだ。冷却の問題を改善させるために無数のプロジェクトが進行している。その作業はオーストリア以前から始まっており、多くのスタッフが懸命に取り組んでいる。問題を解決して更に前進してみせる」

ショブリンは早期改善に向けてファクトリーで精力的に開発作業が続けられていると主張するが、このところのヨーロッパは全域が高気圧に覆われており、各国で観測史上最高気温が塗り替えられる程の暑さを記録し続けている。

F1サーカスはこの後イギリス、ドイツ、ハンガリーと転戦し、その後夏休みを経てベルギーとイタリアでのグランプリを迎えるが、この先も暑さが続くようであれば、レッドブル・ホンダとフェラーリの一騎打ちといった展開が見られるかもしれない。