レッドブル・リンクのターン3からホームストレート側を見下ろす、F1オーストリアGP決勝レースにて
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メルセデス、オーバーヒートで”大火傷”「エンジンモードが一切使えなかった」F1オーストリアGP《決勝》

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2019年F1第9戦オーストリアGP決勝レースに挑んだメルセデスAMGは、バルテリ・ボッタスがスタートポジションを守りきり3位表彰台に上がった一方、ルイス・ハミルトンはポジションを一つ失い5位フィニッシュに終わった。

レース当日のレッドブル・リンクはレース中盤に気温が35度近くにまで上がる暑い一日となった。路面温度に至っては50度超。メルセデスW10は終始オーバーヒートに見舞われ、エンジンを保護するために各種モードが一切使えない苦しい状況を強いられた。まさに”大火傷”だ。

パワフルなエンジンマップが使えなかったという事実は、スピードトラップにも表れていた。ターン4手前の地点での最高速度を見てみると、メルセデスは最速を記録したフェラーリよりも15.6kmも遅い時速312.3kmしかスピードが出ておらず、全10チーム中9番目に甘んじていた。

更に、ターン3手前の地点では10チームの中で断トツの最下位。思い返せば56周目、レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンに対して、ボッタスはそのターン3で為す術もなく、かなりの速度差でオーバーテイクを許していた。

レースを振り返ったトト・ウォルフ代表は、オーバーヒートのために他車と争うような状況ではなかったとして「生き残ることが精一杯」であったと説明した。レッドブル・リンクは標高700mの高地に位置しており、平地よりも空気が薄く、その分冷却が困難になる。今後続くヨーロッパラウンド後半戦でも同様のコンディションが予想されるため、早急な対策が急務と言える。

メルセデス:F1オーストリアGP決勝

ルイス・ハミルトン決勝: 5位, グリッド: 4番手

簡単なレースじゃなかった。レースのスタート前から、問題を抱える可能性については把握してたんだ。僕らはオーバーヒートに大いに手を焼いてしまった。ペースもクルマの感触も良かったけど、オーバーヒートのせいでレースが出来るような状況じゃなかった。

今週末の僕らのクルマの欠点はオーバーヒートだった。ライバル連中は僕らほど困ってる様子はなかったから、分析して対策を講じなきゃならない。ブタペスト(ハンガリーGP)のように、これからもっと暑いレースが幾つか待ち構えてるから、克服しとかないと今後がヤバイ。

それに加えて、僕の方は縁石でフロントウイングにダメージを負ってしまったため交換しなきゃならず、そこでもタイムを失ってしまった。単純に今日は僕らの日じゃなかったんだ。でもまあ、最終的に5位でフィニッシュできたしポイントも獲得できたから良しとしよう。

バルデリ・ボッタス決勝: 3位, グリッド: 3番手

今日はできる限りの事をやれたと思う。警戒しなきゃならないレースになると思っていたけど、蓋を開けてみたら予想以上に厳しかった。何度もリフト・アンド・コーストをしなきゃならなかったし、オーバーヒートからエンジンを守るためにあらゆるモードが使えない状況だった。

その結果、まともなレースを戦えず、終始温度管理に徹しなきゃならなかった。ポジションを守るのもアタックするのも難しかった。でもポジティブな面に目を向けると、幾らかちゃんとポイントも取れたし、レースペースで大きな差をつけられてもいないし、凄く悪かったというわけでもない。原因を詳しく調べた上で、次のシルバーストンでは良いレースがしたいね。


レッドブル・リンクを70周することで争われた2019年の決勝レースでは、2番グリッドからスタートしたレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンが通算6勝目を上げた。

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