マクラーレンのアンドレアス・ザイドル代表copyright McLaren

マクラーレンF1、復活の狼煙上げる選手権4位…新任ザイドルによる”政治の排除”と”目標の再調整”

  • 最終更新:

マクラーレンは2019年シーズンのF1世界選手権で、3強チームに次ぐコンストラクターズ選手権4位を獲得。ワークス・ルノーを含めたミッドフィールドから頭一つ飛び抜けたリザルトを叩き出し、英国ウォーキングのチームは今年、過去7シーズンにおける最高成績でシーズンを締め括った。

マクラーレンは今まさに、3シーズンで2度もコンストラクター9位という不名誉な結果に終わったホンダとの共闘時代を過去のものとして、名門復活の兆しを示し始めているが、この変化をもたらしたのは何だったのか?1つには単純に、今季型F1マシンMCL34の競争力が高かった事が挙げられる。

F1ブラジルGPで初表彰台を獲得したマクラーレンのカルロス・サインツと、そのチームメイトのランド・ノリス
© McLaren、F1ブラジルGPで初表彰台を獲得したカルロス・サインツと、それを祝福するチームメイトのランド・ノリス

2018年型のMCL33は、シーズン前半こそコンスタントに入賞を稼ぎ出すクルマであったが、後半戦においては予選Q1落ちの常連と化し、更には決勝で最後尾争いを繰り広げるまでに低迷。ホンダ時代の停滞の原因が、エンジンのみならずシャシー側にもあった事が白日の下に晒される格好となった。

一方のMCL34は最終戦まで一貫した速さを維持して、カルロス・サインツとランド・ノリスによる7度のダブル入賞を記録。第20戦ブラジルGPではサインツが3位表彰台を獲得し、チームに2014年開幕戦以来となるポディウムをもたらした。

テクニカルディレクターのジェームス・キーはMCL34の躍進について、パフォーマンスディレクターを務めるアンドレア・ステラとエンジニアリングディレクターを担当したパット・フライの二人による”大胆な変革”あってこそだとの考えを示している。だがマシン開発と同じく見過ごせないのが、マネジメントへの大鉈だった。

ルノーと共に新たな道を歩みだしたマクラーレンは、2018年の夏を前に、チーム代表を務めていたエリック・ブーリエの更迭を行うなど、大規模な組織変更を実施。今季第5戦スペインGPからは、ポルシェのWEC世界耐久選手権プログラムを率いていたアンドレアス・ザイドルがF1プログラムの全責任を負う使命を受け、新しくチーム代表に就任した。

マクラーレンのザク・ブラウンCEOとチーム代表のアンドレアス・ザイドル
© Mclaren、左:ザク・ブラウン、右:アンドレアス・ザイドル

ザク・ブラウンCEO曰く、組織そのものは、ロン・デニス離脱直後に自身がチームに加わった時点から問題山積だったようだ。ブラウンCEOは当時の事について、スペイン紙ASとのインタビューの中で「台所にたくさんのシェフがいるようだった」と回顧し、ザイドルの功績を次のように評している。

「当時は、様々な物事が会社や株主同士の間で起こっていた。チームにリーダーシップが欠如していたのは明らかだった。だが今では、すべてが1人に任されており、アンドレアスは最高の仕事をしてくれている」

「アンドレアスはマシンの開発そのものに携わっていたわけではない。なぜなら今年のマシンは昨年開発されたものだからね」

「だが彼は、ジェームス・キーやアンドレア・ステラなど、ごく少数の人間からなるシンプルな組織構造に加えて、明確さとリーダーシップをチームにもたらしただけでなく、各個人がやるべき事を行えるよう権限移譲をおこなった」

「彼がチームから政治を取り除いたのは、リーダーシップのポジションが不在の時は、物事が政治的に陥りやすいからだ」

地ならしが終わり、次なるステップは如何にして表彰台争いの常連に返り咲くかであるが、ブラウンCEOはフェラーリ、メルセデス、レッドブル・ホンダの3強にキャッチアップするにはまだまだ時間がかかると述べ、現実的なスタンスを示している。

「我々が最近実施した事の一つは、目標の再調整だった」とブラウンCEO。

「パワーユニットサプライヤーの変更によって、すぐにでも先頭争いに戻れると思っていたが、全くそんな事はなかった。我々が最初にやなければならなかったことは、前進ではなく後退しないようにすることだった」

「目標達成に向けての道程において、新しく導入されるバジェットキャップが影響力を持ち、重要な役割を果たすことになるだろうが、望んでいる場所に到達するまでには、まだ時間がかかる」