ハースVF-24のノーズに掲げられた「TOYOTA GAZOO Racing」のロゴ、2024年10月17日F1アメリカGP
Courtesy Of Haas

ハースF1売却のシナリオとトヨタ「先買権」の存在を否定する小松礼雄

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ハースF1チームの小松礼雄代表は、新たなパートナーとなったトヨタが仮にチームを買収しようとしても、それが実現する可能性はないと主張するとともに、同社に「先買権」はないとも説明した。

トヨタが人材育成およびマシン開発の分野におけるハースとの業務提携を発表したのは、ジーン・ハースがF1チームの運営から徐々に手を引くのではとの憶測が上がる中でのことだった。

ハースの小松礼雄代表と、トヨタ自動車株式会社の豊田章男会長、GAZOO Racing Companyの高橋智也プレジデント、2024年10月11日技術提携発表会見にてCourtesy Of Haas

ハースの小松礼雄代表と、トヨタ自動車株式会社の豊田章男会長、GAZOO Racing Companyの高橋智也プレジデント、2024年10月11日技術提携発表会見にて

ジーン・ハースとトニー・スチュワートは今年5月、2024年シーズン末を以てNASCARに参戦するスチュワート・ハース・レーシング(SHR)の事業を閉鎖すると発表した

F1メキシコGPの初日を迎えたエルマノス・ロドリゲス・サーキットで小松礼雄は、「そもそも、ジーンはチームを売却するつもりはありません」と語った。

「彼は毎回、『どうすればもっと良くなるだろうか?クルマをもっと速く走らせるにはどうすればいいだろうか?』と僕に尋ねてくるほどで、売却に興味を持っていません」

「実際、彼にはかなりの数のオファーがあったと思いますが、すべて断っています。つまり、チームは売りに出されていません」

チーム代表者会見に出席したハースの小松礼雄代表、2024年10月25日F1メキシコGPCourtesy Of Haas

チーム代表者会見に出席したハースの小松礼雄代表、2024年10月25日F1メキシコGP

小松礼雄はまた、ジーン・ハースが株式を譲渡しようとした場合、トヨタが優先的にこれを買い付けることができる権利を持っているのか?との質問に対して「先買権といったことなどについては、話もしていませんし、話題に上がっていません」と答えた。

ハースは2016年のF1初参戦以来、クルマの製造をイタリアのレーシングコンストラクター、ダラーラに委託するとともに、フェラーリと技術関係を築いてきた。これは、フェラーリの本社があるマラネッロに設計オフィスを間借りする程に緊密なものだ。

この契約は今年7月に延長され、2028年まで引き続きパワーユニットやギアボックスの供給を受けるだけでなく、風洞もマラネッロのものを使用することが決まっている。

トヨタとの提携について小松礼雄は、ダラーラに関してはその一部がトヨタの管轄になる可能性があるとしているが、既存のパートナーシップに取って代わるものではないと強調した。

「フェラーリとダラーラとは、最初から素晴らしいパートナー関係を築いてきました」と小松礼雄は語る。

「ご承知のように、フェラーリはパワーユニットだけでなく、ギアボックス、サスペンション、油圧システムなど、様々な分野で協力してくれていますが、これらはトヨタが関与していない分野です」

「トヨタが関与するのは、フェラーリからのサポートがない分野、つまり我々が独自で取り組んできた分野です」

「よってトヨタとの提携は、我々の能力を高め、クルマをより深く理解するチャンスとなり、チームの競争力を高めることにつながるものです」

ハースVF-24のリアウイングに掲げられた「TOYOTA GAZOO Racing」のロゴ、2024年10月17日F1アメリカGPCourtesy Of Haas

ハースVF-24のリアウイングに掲げられた「TOYOTA GAZOO Racing」のロゴ、2024年10月17日F1アメリカGP

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