ピレリによる鈴鹿サーキット分析
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ピレリF1「鈴鹿ではサーマルデグラデーションに注意が必要、レコード更新は確実」F1日本GP 2017《preview》

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ピレリのF1統括責任者であるマリオ・イゾラは、F1日本GPの舞台となる鈴鹿サーキットは、タイヤの横方向への負荷が大きく、タイヤマネージメントがレースの鍵を握ると分析する。

「今シーズンは、昨年よりも柔らかいコンパウンドのタイヤを導入することが多いのですが、それは鈴鹿でも同様となります。よりソフトなタイヤによってラップタイムは向上することになるでしょう。鈴鹿では横方向の負荷がサーマル・デグラデーションを引き起こす可能性があるため、適切にタイヤマネージメントをする事が求められます」

鈴鹿サーキットはタイヤの摩耗レベルが極めて高く、シーズンで最もタイヤに厳しいサーキットの1つとして知られている。S字や130R等の高速コーナーでは、地面に対して水平方向の力がタイヤにかかりタイヤの温度を上昇させる。熱くなりすぎたタイヤは、その熱によってゴムの組成が変化してしまい、性能が低下する。サーマル・デグラデーションによってパフォーマンスが低下したタイヤは、大幅なタイムロスを生み出す。

2017年のレギュレーション大変革によって、F1にはこれまでよりも幅の広いタイヤが導入された。これはマシングリップを大きく向上させ、結果としてコーナリング速度が飛躍的に上がった。イゾラは、鈴鹿のラップレコードが更新されるのはほぼ確実であり、観測されるGフォースも衝撃的なものになるだろうと予想する。

「新しいF1のレギュレーションは、マシンのコーナリング速度を著しく向上させました。F1ドライバー達が鈴鹿でのレースを楽しみにしている理由の1つにはこの点が挙げられます。鈴鹿でのラップレコードが更新されるのはほぼ確実ですし、衝撃的なGフォースが観測できることでしょう」

現在のラップレコードは、2005年にキミ・ライコネンが記録した1分31秒540。今年の鈴鹿では、1分30秒を切るタイムを目にできるかもしれない。

ピレリは今年のF1日本GPに、白色のミディアムタイヤ、黄色のソフトタイヤ、赤色のスーパーソフトタイヤを持ち込む。母国レースとなるマクラーレン・ホンダは、この内最も柔らかいスーパーソフトをライバルよりも多く選択、アグレッシブな戦略を採用した。タイヤ負荷が大きいことから、鈴鹿の決勝では2ストップ戦略が主流と見込まれる。

ピレリによる鈴鹿サーキット分析
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