「Honda e:TECHNOLOGY」のロゴが掲げられたレッドブル・ホンダRB16B、2021年F1フランスGPにて
Courtesy Of Red Bull Content Pool

ホンダF1、仏投入のアップグレードでエンジンパワー向上か…次戦レッドブル・リンクを警戒するメルセデス

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F1第7戦フランスGPで敗北を喫したメルセデスは、ポールリカール・サーキットに持ち込んだアップグレードによってホンダが今季型パワーユニット(PU)「RA621H」のパワーを向上させたと考えており、1週間後に控えるレッドブル・リンクでの連戦に警戒を強めている。

今シーズンのエンジンは事実上ホモロゲートされており、シーズン中にパフォーマンス改良を目的とした変更を加える事は出来ないものの、信頼性向上を目的としたものであれば許可を得ての変更が認められている。堅牢となればその分だけパワーユニットをより高い出力モードで稼働させる事ができるため、必ずしもパワーアップが不可能なわけではない。

F1参戦最終年でのチャンピオンシップ制覇を狙うホンダは、第7戦の週末に角田裕毅を除く3台に対して今季2基目となるICE(内燃エンジン)、ターボチャージャー、MGU-K、MGU-H、そして今季3セット目となるエキゾーストを投入した。

19日に行われた公式予選では、新エンジンを使うレッドブルのマックス・フェルスタッペンがポールポジションを獲得。2018年のF1カレンダー復帰以来、ポールリカールでポールと優勝を独占し続けてきたルイス・ハミルトン(メルセデス)に0.258秒という大差を付けた。

F1フランスGP予選最高速

南仏でのレッドブル・ホンダRB16Bの速さに衝撃を受けたハミルトンは「信じられない速さだった。フレッシュなエンジンを手にした彼らはストレートで速い」「今日は彼らがストレートで勝っていた部分が大きいと思う」と述べ、ホンダのアップグレードに焦点を当てた。

実際レッドブル・ホンダの2台は予選でのスピードトラップ(ターン8の165m手前)で時速328.7kmと時速327.7kmを刻んで全20台のトップと4番手に立ったが、対するシルバーアローの2台は時速326.6kmと時速326.4kmで9-10番手に留まった。

だがこのスピード差は決勝で更に拡大する事になる。

レース中のスピードトラップではレッドブル・ホンダ勢が時速337kmと時速336.4kmを刻む一方、メルセデス勢は時速321.2kmと時速320.7kmに過ぎなかった。これらはいずれもDRSを稼働させスリップストリームを得た状態のもので、その差は歴然だった。

チェッカーフラッグまで残り2周という最終盤に抵抗すら出来ずフェルスタッペンにオーバーテイクを許して最終2位に甘んじたハミルトンは「今週末は紛れもなく彼らの方が遥かに速かった。ストレートでコンマ35秒を失っていた」と述べ、改めてライバルのストレートでの優位性を指摘した。

「今日の僕らのタイムロスの殆どはストレートでのものだった。それがパワーによるものなのかドラッグなのか、その原因を突き止める必要がある」

ハミルトンがフェルスタッペンに続く2ストップ戦略への切り替えが無意味だと考えた理由もライバルのトップスピードの高さにあった。

再度のピットストップを行った場合、ハミルトンはフェルスタッペンを追いかける前にもう一台のRB16Bを駆るセルジオ・ペレスを攻略しなければならないが、最高速にこれ程の開きがあると如何にタイヤ的なアドバンテージがあっても追い抜くのは簡単ではない。

桁違いのトップスピードについて、レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表はリアウィングによるローダウンフォース化の影響だとして否定しているものの、メルセデスのトト・ウォルフ代表はその説明に納得しておらず、アップグレードによってホンダが大きく前進したとの考えを改めようとはしていない。

と言うのも、ウイングにおけるダウンフォースはウイング単体で決まるわけではなく、レーキ角に依存するためだ。リアのライドハイトを高くすればその分だけリアウイングのアタックアングルも変化する。

メルセデスにとって頭が痛いのは、翌週末からの2週間に渡ってオーストリアでの2連戦が控えている事だ。

ハミルトンは舞台となるレッドブル・リンクについて「ロングストレートを備えるパワーハングリーなサーキットだから、今週末と似たような状況を目の当たりにする事になるかもしれない。レッドブルのストレート速度が速いのは明らかだからね」と懸念を口にした。

「でも(開幕までに)3日間の猶予があるから、調整や改善ができるかどうか検討してみるつもりだ。あらゆる要素を最大限に活かせれば、彼らに一泡吹かせることができるかもしれない」

なお2基目の投入と同じタイミングで、今季型ホンダPU「RA621H」にはホンダ独自の高効率電動化技術のブランディングとして新たに「Honda e:TECHNOLOGY」のネーミングバッジが与えられている。

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