ハミルトンの4基目投入、戦略的理由ではなく切羽詰まった状況の産物か…カスタマーもトルコGPでペナルティ?
レッドブル・ホンダのクリスチャン・ホーナー代表は、メルセデスがF1トルコGPの週末に先立ってルイス・ハミルトンに4基目のICE(内燃エンジン)を投入したのは戦略的な理由によるものではなく、切羽詰まったが故のやむを得ない措置だったと考えている。
メルセデスは前戦ロシアGPを終えて全てのPUコンポーネントを英国ブリックスワースのファクトリーに送り詳細な分析を実施した。公表はされていないものの、独auto motor und sportによるとソチでの週末に予防措置として交換されたボッタスの4基目は再利用不可の烙印が押されたとの事だ。
これによりメルセデス陣営の警戒が更に高まったであろう事は疑いない。イスタンブール・パーク・サーキットでの週末を前にシルバーアローはルイス・ハミルトンに4基目のICEとエキゾーストを投じた。
4基目のエキゾーストは年間割り当ての範囲内であり、2点差でチャンピオンシップをリードするハミルトンはICE開封による10グリッド降格のみで事なきを得た。
これは仮に予選でトップタイムを刻んだとしても決勝を11番手からスタートする事を意味するが、初日フリー走行の動向を見る限りにおいては、それでもなお、表彰台獲得の可能性は高そうだ。
エンジニアリング・ディレクターを務めるアンドリュー・ショブリンは「2台ともがシングルラップとロングランの両方で素晴らしいペースを発揮してくれた」と述べ、初日の出来に手応えを見せている。
なおパドックではトルコGPの週末中に、他のメルセデスカスタマーもエンジン交換ペナルティを受けるのではとの噂が流れている。マクラーレンはその可能性を否定しているが、セバスチャン・ベッテル(アストンマーチン)とジョージ・ラッセル(ウィリアムズ)の名が取り沙汰されている。
クリスチャン・ホーナーはSky Sportとのインタビューで「我々の理解では、あれは選択された決定というよりむしろ、おそらく強制的にそうせざるを得なかったのだと思う」と述べ、ハミルトンの交換は止むに止まれない措置だったとの見方を示した。
「他のチームでも問題を抱えていたようだしね」
ボッタスの時とは異なり、メルセデスが今回フルコンポーネントではなくICEのみを交換した事から、残りの7戦を戦い抜くだけの信頼性不足が懸念されているのが現時点でICEだという事が読み取れる。
逆にターボチャージャー、MGU-H、MGU-K、ES、そしてCEは、最終アブダビGPまで持ち堪えられると考えているのだろう。
誰もが路面コンディションの改善度合いを見誤りマシンバランスに苦戦する中、メルセデスはライバルと比較してより上手く、そして素早く状況に適応してみせた。初日フリー走行のリザルトはそう仄めかしている。
チャンピオンシップ争いにおけるダメージを最小限に抑えるべく、ハミルトンは2日目土曜の予選でポールポジションを狙いにいく。
「セットアップが最高で、素晴らしい形でFP1をスタートさせる事ができ、最初のセッションは本当に力強いものになった」とハミルトンは語る。
「セッション間に幾つか変更を加えた事と路面の進化が相まって、クルマの感触はさほど良かったわけじゃないけど、幾つか重要な教訓を得る事ができたのは確かだ」
「パッケージから引き出せる最大限のものにかなり近づけている。毎戦そうだけど、2日目に向けて何らかの改善策が見つかるものだから、明日に向けてペースを引き出せるよう頑張るつもりだ。雨じゃない事を願うけど!」
「決勝レースではかなりの仕事が必要になるから、明日はとにかくベストを尽くすして、ペナルティによるダメージを抑えるために当然ポールを狙いにいくつもりだ」