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ルイス・ハミルトン、高額年俸と長期契約を要求…メルセデス残留交渉が暗礁に

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延長発表間近と伝えられていたルイス・ハミルトンとメルセデスAMGとの契約交渉だが、契約書へのサインが行われるのはまだ少し先の事になるかもしれない。Corriere dello Sportは25日付けで、ハミルトンが高額年俸と長期契約を要求していると報道。契約年数と年俸の双方で意見が対立しているようだ。

ハミルトン、4年契約と年間65億円を要求

同紙によると、今季限りでシルバーアローとの契約が満了を迎えるハミルトン側は、メルセデスに対して少なくとも2024年までの4年の契約延長と年間6,000万ドル、日本円で約65億5,666万円の高額年俸を要求。その見返りとして、F1引退後はアンバサダーとして引き続きメルセデスに留まるという。メルセデスは2022年までの延長を打診しているとみられている。

一方のメルセデス擁する独ダイムラーは昨年末、管理職の人件費削減を主体としたコスト削減プランを発表。EVシフトに伴う利益率の低下を理由として、2022年までに15億ドル、日本円にして約1,639億円規模のコストカットを達成するとの目標を掲げたばかりであり、ハミルトンの要求がすんなりと認められる可能性は乏しい。

6度のF1ワールドチャンピオンであるハミルトンの稼ぎは、現時点ですでにF1グリッドの中で最も高い。ハミルトンはフォーブスが先日発表した「2010年代に最も稼いだアスリート」で唯一F1ドライバーとしてトップ10入りを果たし、過去10年で4億ドル、日本円にして約439億1,261万円もの大金を手にしたとみられている。

交渉有利はメルセデス?

チーム代表を務めるトト・ウォルフは最近、ハミルトンを引き留める事がメルセデスの最大の関心事だと認める一方で、最も重要な事は速いマシンと強力なエンジンを作り出す事であり、それが実現できる限りにおいては、ドライバーとの契約交渉で有利な立場に立つのはチーム側だとの認識を示している。

メルセデスの手飼のドライバーの中で、ハミルトンの代わりが務まる水準のドライバーは現時点で育ってはいない。だが、今年F1での2シーズン目を迎える育成傘下のジョージ・ラッセルは昨年、チームメイトのロバート・クビサを完膚なきまでに叩き潰しており、将来の活躍が期待されている。また、仮にシートに空きが出るようであれば、中団でくすぶるルノーのダニエル・リカルドのようなチャンピオン候補を獲得する事も不可能な話ではない。

要求している2024年までの契約を全うした場合、ハミルトンは39歳を迎える事になる。ハミルトンが4年後も現在の能力を維持できるかどうかは不透明だ。通算84勝を誇る英国人ドライバーは既にキャリア円熟期にあり、今やメルセデスはハミルトン引退後の後釜を真剣に検討すべき時期を迎えている。

当初マラネッロのチームへの移籍も噂されていたハミルトンだが、当人は昨秋その可能性について「非常に乏しい」との考えを示しており、ハミルトンとしてもメルセデスへの残留を最優先事項としていると考えられている。交渉の当事者双方が、規約改定が行われる2021年以降も現在のチーム間勢力図に大きな変化がないと見込んでいるのであれば、メルセデスが交渉を有利に進める事だろう。

マックス・フェルスタッペンはレッドブルとの契約を2023年末まで、シャルル・ルクレールはフェラーリとの契約を2024年末まで延長する事を発表しており、トップドライバー市場は昨年の最終アブダビGP以降に大きく進展した。