2018年からの導入が決定したハロcopyright formula1.com

かっこ悪いのに何故?”ヘイロー”が選ばれた理由と、コックピット保護デバイス議論の経緯

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FIA国際自動車連盟は、2018年のF1世界選手権にコックピット保護デバイスとして”ハロ”(別称:ヘイロー)を採用することを発表した。これまでに”エアロスクリーン”、”シールド”、”ハロ”の主に3つのデバイスを評価してきた結果、最も安全性が高いのはハロとの判断に至ったのがその理由だという。

F1マシンの外観に大きな影響を与えるだけに、ハロ導入のニュースは大きな話題となっている。反響の多くは好意的なものとは言い難いが、ハロがドライバーの命を守るために導入されるものである事を思い出す時、外見デザインを理由にこれを否定するのは難しい。

FIAによれば、安全性の評価は以下3つのリスクを想定して行われており、ハロはいずれの項目においても成功を収め、高い安全性能を有していると言う。

  1. マシン同士の接触
  2. マシンとウォール等の外部要素との接触
  3. 飛来する物体等との接触

ハロの実車テストからのフィードバックでは、視界に与える影響はほぼゼロであり、コックピット真正面に位置する中心支柱は視界の妨げとはならないと報告されている。また、コックピットからの脱出に関しても、適切な位置に設置し、手順を遵守すれば大きな問題はないようだ。

先日のイギリスGPでテストされた”シールド”は、テストを担当したセバスチャン・ベッテルから視界性をはじめとして多くの障害があったとのフィードバックがあったため、FIAはハロを最善の解決策として選択することになった。

頭部保護デバイス議論の発端

2転3転した一連の議論は、どのような理由からいつ始まったのか。ここで整理してみたい。

モータースポーツの安全性向上は、F1を統括するFIA国際自動車連盟の重要課題の1つである。同組織は、研究開発を通じて安全性を絶え間なく追求することで、アクシデントのリスクを最小化しようとしている。

F1はフォーミュラカーで争われるモータースポーツ競技である。フォーミュラカーは、オープンホイール=タイヤがむき出しであり、オープンコクピット=ドアや窓などを持たない事が外見上の特徴となっている。ドライバーは、自身の頭部がむき出しの状態で時速300km/h超でレースを行う。フォーミュラカー競技におけるドライバーの頭部保護は長年の懸念事項であった。

度重なるレース事故

2009年のF2レースで、脱落タイヤが直撃したヘンリー・サーティースが死亡、同年F1ハンガリーGPでフェリペ・マッサが脱落パーツにより重傷を負った事で、コックピットを保護するための安全装置導入の機運が高まった。クローズドコックピット案が検討されたり、”ロールフープ”と呼ばれるハロに似た形のデバイスがテストされるなどしたが、いずれも採用には至らなかった。

議論が本格化したのは、2014年のF1日本GPでのジュール・ビアンキ、2015年のインディカー第15戦ポコノでのジャスティン・ウィルソンの死亡事故が起こった後であった。2人の偉大なドライバーは、頭部損傷が原因となり死亡したとされる。

2016年7月、F1参戦ドライバー達で構成される組織グランプリ・ドライバーズ・アソシエーション(GPDA)は、FIAに対して「何らかの形でコックピット保護施策を迅速に実施するよう」要請した。来季のハロ導入を巡る一連の議論は、実際に危険と向き合っているドライバー本人達から発せられたものであった。

ハロ導入までの主な経緯

2009年7月
ハンガリーGPでのマッサの事故
2014年10月
日本GPでのビアンキの事故
2016年2月
FIA、17年からの保護装置導入を発表
2016年3月
プレシーズンテストで”ハロ”をテスト
2016年4月
ロシアGPで”エアロスクリーン”をテスト
2016年7月
GPDAからの要請
2016年8月
FIA、17年からの導入延期を発表
2017年7月
イギリスGPで”シールド”をテスト
2017年7月
FIA、18年からのハロ導入を発表

不恰好なデザインへの批判が相次ぐ中、FIAは18年の導入前にチームとドライバーとの共同作業によってより洗練されたデザインを目指していくとアナウンスした。実際にハロが導入されるかどうかは、FIAの内部組織である世界モータースポーツ評議会によって最終決定される事になる。