FIA、ダブル・イエローフラッグ区間の速度制限を厳格化…F1モナコGPより施行
Published: Updated:
国際自動車連盟(FIA)はF1第7戦モナコGPを前に、インシデント発生時の安全性向上を目的として、セーフティーカー(SC)またはバーチャル・セーフティーカー(VSC)導入時のダブル・イエローフラッグ(二重黄旗)区間における速度制限を厳格化する新たなルールを導入した。
ダブル・イエローフラッグとは「コース全体またはその一部に障害物がある場合、あるいはコース上またはコース脇でコースマーシャルが作業をしている場合」、つまりコース上に何らかの危険がある事を知らせるための仕組みで、2本の黄色い旗を振ることによって示される事からこのように呼ばれている。
これはFIA国際競技規定において定められており、ドライバーには「著しく速度を落とし、追い越しをせず、方向転換または停止の準備をする」ことが求められている。具体的な数字による制限はなく、減速の程度はドライバーの判断に委ねられる。
従来、SCまたはVSCが導入された状況下におけるダブル・イエローに関する別途の取り決めはなく、2022年の日本GPにおけるピエール・ガスリーの一件に代表されるように、デルタタイムを守ってさえいれば、一時的に安全とは言えない水準の速い速度で走行することが可能だった。
デルタタイムとは、FIAが指定する基準のラップタイムと、ドライバーの実際のラップタイムとのタイム差を示すもので、ステアリング上に設置されたディスプレイ(ダッシュボード)と無線の両方によって通知される。ドライバーはデルタタイムがプラスの値になるよう、つまり基準値よりも遅いタイムで走行しなければならない。
新しいルールでは、SCまたはVSC導入下におけるダブル・イエローフラッグ区間に別途のデルタタイムを設けることで車両の速度を制限する。走行中にダブル・イエロー区間に入るとデルタタイムがリセットされ、その区間用に設けられた新たな基準値を守らなければならない。
無論、この新しいシステムにも問題はある。
一部のドライバーがダブル・イエローで速度を落とさなければならない状況に遭遇する一方、後続のマシンはフラッグの終了後に当該区間を通過する可能性がある。つまり一部のドライバーに不利益が生じる可能性があるわけだ。
この点についてFIAのF1エレクトロニクス部門を率いるオリビエ・ヒュロットは「安全が最優先事項だ。コース上に危険がある場合、あるいはコース上にマーシャルがいる場合、我々はどんなことがあってもリスクを最小限に抑えなければならない」と語った。