タイヤウォーマーを必要としない2024年型プロトタイプタイヤ、F1スペインGP後の2023年6月6日にカタロニア・サーキットで行われたピレリの2024年型タイヤ開発テストにて
Courtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

やや不可解…FIA、F1シュートアウトのタイヤ制限規定を調整…オーストリアGPに先立ち

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国際自動車連盟(FIA)はF1第10戦オーストリアGPに先立ち、スプリント・シュートアウトにおけるタイヤ制限ルールを変更した。SQ3に関して従来、新品ソフトの装着が義務付けられていたが、中古が許可される事となった。

2023年シーズンはスプリントフォーマットが改定された。フリー走行は初日の1回のみとなり、その後、日曜の本レースのための予選が行われる。2日目はスプリントと、これに先立ちスプリントのグリッドを決するスプリントシュートアウト(SQ)が実施される。

バクー市街地コースを周回するマックス・フェルスタッペン(レッドブル)とカルロス・サインツ(フェラーリ)、2023年4月29日F1アゼルバイジャンGPスプリント・シュートアウトにてCourtesy Of Red Bull Content Pool

バクー市街地コースを周回するマックス・フェルスタッペン(レッドブル)とカルロス・サインツ(フェラーリ)、2023年4月29日F1アゼルバイジャンGPスプリント・シュートアウトにて

3ラウンド制のSQでは装着可能なコンパウンドが制限される。レギュレーションはSQ1とSQ2では新品のミディアムタイヤを、スプリントのポールを争う最終SQ3は新品ソフトを履く事を義務付けている。いずれのラウンドも1セットしか使う事ができない。

アゼルバイジャンGPのシュートアウトでは、ランド・ノリス(マクラーレン)がQS3進出を果たしたものの、前日の予選までに新品ソフトを使い切っていたため、チェッカーフラッグまでガレージ内で傍観するシーンが見られた。

F1レースディレクターを務めるニールス・ヴィティヒは今季2回目のスプリントが採用されるオーストリアGPの開幕を翌日に控えた6月29日(木)、競技規定第30条5項hの文言を修正し、使用履歴に関する制限を撤廃した。

本来であればレギュレーションの変更が必要だが、2023年F1競技規定は第1条4項において、規定の意図に反する解釈が可能な条項が見つかった場合など、幾つかの条件はあるものの、同年8月1日までであればスプリント関連ルールの一時的な変更を認めるとしている。

履歴制限の撤廃はF1とFIA、そして全10チーム中、9チーム(FIAが後に訂正)の合意を経て決定された。反対したのはどのチームだったのだろうか?

やや不可解なのは、文言が変更されたのが「スプリントシュートアウトのSQ3では、1セットまでのドライタイヤの使用が許可される。これはソフト仕様の新品でなければならない」と定めている第30条5項h iv)である点だ。

というのもヴィティヒは文言変更を公表した文書の中で、その目的について「スプリントイベントの特定の状況において、ドライ路面でインターミディエイトタイヤを使うことがインセンティブになるという意図せぬ結果を回避するため」と説明しているからだ。

先述のように、新品ソフトを使い果たしたノリスは理論上、インターでSQ3を走行する事が可能だった。

これは第30条5項h v)において「スプリントシュートアウト全体に関して、各ドライバーの割り当ての範囲内で自由にインターミディエイト・タイヤやウェットウェザー・タイヤを使用して良い」と定められている事に依るものだと考えられる。

「意図せぬ結果を回避」するためには当該条項に手を加えれば良いにも関わらず、文言が変更されたのは第30条5項h iv)の方だった。

確かに中古のソフト着用を許可すれば、必然的にインターを履くインセンティブは消滅する。ドライ路面で新品インターより中古ソフトの方が速いのは自明だ。だが目的を達成するには第30条5項h iv)に手を加える方が自然ではないだろうか。例えば「ウェット宣言時に限り」のような条件を加えて。

つまり今回の目的はインター云々というよりはむしろ、新品ソフトを使い果たしたが故にSQ3で走行できないマシンが発生し、ショーが損なわれるのを防ぐためと考える方がシックリくるように思うが、果たして実際のところはどうなのだろうか。どのような意図があるのだろうか?

今回の変更は結果的に、SQ1とSQ2においてミディアムではなくインターを装着できる余地を残す形となっている。

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