
F1ウイング新規制で「4~5チーム」が仕様変更とFIA、更なる強化も視野
国際自動車連盟(FIA)シングルシーター部門の責任者を務めるニコラス・トンバジスは、2025年FIA-F1世界選手権第2戦中国GPにおいて強化されたリアウイングの静的負荷検査について、「4〜5チーム」が仕様変更を余儀なくされたとの見解を示した。
独Motorsport-Totalによると、トンバジスは中国GPを終えて、「4〜5チームが(中国GPに向けて)変更を加えたようだ」「今回はうまくいったと思いたい」と述べ、規制強化が一定の成果を挙げた可能性に言及した。
トンバジスは具体的なチーム名こそ挙げなかったが、アルピーヌは既に変更を公に認めている。
パドックでは、マクラーレン、フェラーリ、アルピーヌ、ハースの4チームが、レギュレーションの主旨を回避する形でリアウイングの剛性を意図的に調整していた可能性が取り沙汰されているが、トンバジスは「特定のチームについては話さない」としている。
上海で導入された新しい静的検査では、リアウイングのメインプレーン両端に75kgの垂直荷重を加えた状態で、メインプレーンとフラップの間隔が0.75mm以下であることが求められた。従来の許容値は2.0mmであり、実に約3分の1の厳格化となる。中国GP後はさらに厳しい0.5mmの基準が適用される。
FIAはこの物理的検査に加え、車載カメラの映像分析を併用している。必要に応じて設計図の提出を求める場合もあるが、主に映像と計測データを総合的に検証する形を取っているという。
トンバジスはまた、さらなる疑いが浮上した場合には、許容限界値をさらに引き下げる可能性もあると認め、加えて将来的にはDRSのメカニズムにも踏み込んで厳密な調査を行う可能性にも言及した。
「チームは常に最大限の利得を得ようとする。我々の役割は、ルールに則り、その限界を見極めることだ」とトンバジスは締めくくった。
リアウイングの”たわみ”問題はF1において長らく“グレーゾーン”として扱われてきたテーマだが、FIAは2025年以降の厳格運用に向けて着々と監視体制を整えつつある。