タイトル奪還に燃えるフェラーリ、2019年F1予算を増強…王者メルセデスに匹敵する大金を投入
メルセデスAMGからのF1世界選手権奪還に燃えるフェラーリは、その目的を達成すべく2019年の予算を増強。タイトル争いに向けて、組織編成だけでなく投下するリソースそのものを拡大する方針を明らかにした。
F1界の雄、スクーデリア・フェラーリは、2008年にコンストラクターズ・チャンピオンシップを制して以来タイトル獲得から遠ざかっており、1.6リッターV6ハイブリッド・ターボエンジンが導入された2014年以降は、宿敵シルバーアローに大きく遅れを取っている。
「我々の目標はこれまでと変わらず勝利することだ」故セルジオ・マルキオンネに代わって、新しくフェラーリの最高経営責任者兼会長に就任したルイス・カミレッリは、目標達成のためには更なる”金が”必要だと力説する。
「この目標を達成すべく、我々は2019年の投資額を増やす計画を立てている。増額分には、2021年に発効が予定されている新しいコンコルド協定に含まれる戦術的な規約に対処するための開発経費も含まれる」
F1の商業面に関する決まりごとを定めたコンコルド協定は、現行レギュレーションと同じく2020年に有効期限を迎える。カミレッリ会長が語る「戦術的な規約に対処するための開発経費」が何を意味しているのかは定かでないが、同年は、マシンの根幹をなすエンジン仕様の改定が決定している他、小規模チーム待望の予算制限が導入される見通しとなっている。
フェラーリの地元メディアの試算によれば、フェラーリの昨季の予算はメルセデスよりも25億円ほど低い540億円程度であったとされる。今年はグリッドで最も人気と年俸の高いキミ・ライコネンが抜けた他、フィリップモリスの「Mission Winnow」プロジェクトへのプロモーション協力によるスポンサー収入大幅増が予想され、両者のバジェットギャップは一層接近する見通しとなっている。
フェラーリは昨年、宿敵メルセデスを凌ぐ性能を秘めたマシンと二人のF1ワールドチャンピオンを擁しながらも、シルバーアローのチーム総合力の前に敗れ去り、その勝敗を最終アブダビGPまで持ち越すことすら出来なかった。それでもカミレッリ会長は、チームの競争力は最後にタイトルを獲得した2008年の水準に近づいていると主張する。
「昨年のF1での我々のパフォーマンスは、2008年にコンストラクターズ・チャンピオンシップを獲得して以来ベストなものだった。だがその一方で、優勝カップを掲げるという我々の野心に及ぶ程の競争力ではなかったのも事実だ」
マラネロのチームは2019年シーズンを前に人事にメスを入れ、マウリツィオ・アリバベーネを更迭し、テクニカル・ディレクターを務めていたマッティア・ビノットを新しいチーム代表に起用。マシン開発の片翼を担うシミュレータードライバーも一新され、ブレンドン・ハートレー、パスカル・ウェーレイン、アントニオ・フォッコ、ダビデ・リゴンの4名を開発チームに加えている。