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F1、2021年以降の計画案を発表。エンジン規約の主張譲らず、新規参入を重視する姿勢が鮮明に

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F1を傘下に持つ米リバティ・メディアは6日金曜、バーレーン・インターナショナル・サーキットで会合を開催し、F1チームとFIA国際自動車連盟に対して、2021年以降のF1の姿を描いた青写真を提示した。新時代のF1ビジョンの策定に際しては、リバティ・メディア側とフェラーリをはじめとするチーム側との政治的駆け引きが深まっていた。

今回の計画案は個別具体的な内容を示すものではなく、現行規約の有効期限が終了した後のF1の風景を描く事を目的としており、パワーユニット、コスト、分配金、レギュレーションの4点について提案が行われた。

本プロポーザルによって、リバティ・メディアが目指す次世代F1の姿が鮮明となってきた。注目のエンジンに関してはこれまでの主張を継続し、シンプルかつ安価なパワーユニットの必要性を改めて強調。分配金やレギュレーションといった他のエリアでフェラーリに配慮を示す一方、エンジン規約に関しては主張を譲らす、新規エンジンサプライヤーの参入を重視する同社の姿勢が浮き彫りとなった。

パワーユニット

2021年以降の新パワーユニットについては、1.6リッターV6ターボエンジンを維持しつつ、MGU-Hを廃止し共通パーツを採用するとなる従来の方向性を維持。シンプルかつパワフルで、ファンを魅了するサウンドを持つ安価なパワーユニットの導入を目指すとした。また、エンジン交換による過度なグリッドペナルティの見直しを行うとも付け加えられた。

F1は自動車メーカーにとって市販車との関連が見いだせるスポーツでなければならないとし、潜在的候補者に対してF1参入の魅力をアピール。新規参入を求める姿勢が鮮明となった。また、ワークスチームがカスタマーチームに対して不当な優位性をもたないよう、エンジン性能には一切の差があってはならないと宣言した。

コスト面

各チーム間の予算格差が問題となっているコスト面に関しては、予算額そのものよりも、その予算を何に投じるかが重要であるとした上で、コスト上限案の導入を明言。標準パーツの導入を目指すとしながらも、各チームが独自性のあるマシンを製造できる環境が必要だとした。

分配金

新時代の分配金のあり方については、コース上でのパフォーマンスとの整合性が重要であるとして、チームと商業権利者の双方にとってバランスの良い仕組みが必要だと説いた。また、収益はコンストラクターとエンジンサプライヤーの双方に与えるものとした。

現行のコンコルド協定ではフェラーリやマクラーレン等、一部の古参チームに成績とは無関係に特別ボーナスを与える特別な仕組みがあり、新興チームからの批判に晒されているが、「歴史的チーム」は依然としてその価値を認められるべき、として、引き続きこの伝統を続けていく事を示唆した。

レギュレーション

基本思想としては「先ず車ありき」であり、その下位にドライバースキルを置く「エンジニアリング・ファースト」「ドライバー・セカンド」の価値観が継続される。

コース上での追い抜きが減少している問題については、オーバーテイクの機会を増加させるためにより競争力のある車を用意する必要がある、とした。ただしチーム間のマシンの個性・独自性が重要とした上で、空力・サスペンション・エンジン等のエンジニアリング面に由来するパフォーマンス差はあって然るべきとし、継続させる方向を打ち出した。

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