2020年型F1マシンの風洞実験50%スケールモデル
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F1、エンジン及び車体開発を凍結…対象パーツ20個 トークン制を検討

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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で収益が限られる中、如何にしてマシン開発費を抑えて財務を安定させるか。F1とF1チームは議論を続ける中でトークン制の採用に大筋で合意し、開発の凍結対象となるコンポーネントを20個に絞り込んでいる。

当面の支出を削減するために、既に新世代マシンの導入が2022年に延期される事が決定しているがこれは費用の先送りに過ぎず、開発費を抜本的に抑える対策が求められている。チーム側としては現行マシンを使い回す事で、最低でも5000万ドル(約65億円)程度を圧縮したいと考えている。

ただしこれを実現するにはサバイバルセルの開発凍結だけでは賄えない。凍結リストへの追加が検討されているパーツは約20個に上っており、ギアボックスや前後サスペンション、ホイールやブレーキ、油圧システムの他、衝撃吸収構造体(ノーズは除く)が含まれている。

エアロダイナミクスは含まれていないが、風洞の稼働時間を制限することで空力開発にも一定の制限を加える事が検討されている。ラジエーターも除外される。

問題となるのは、チーム毎に開発を進めたい領域が異なる事だ。バルセロナテストを経て各チームは自車の改善点の見通しを付けている。例えばフェラーリはノーズを改善させたいと考えているかもしれないが、メルセデスやレーシング・ポイントはその必要はないと思っている事だろう。レッドブル・ホンダはフロントアクスルの凍結を望んでいるようだが、リアサスペンションは開発を続けたいと考えている。

このジレンマを解決するために現在俎上に載っているのがトークン制の採用だ。トークンシステムと言えば、かつてV6ハイブリッドが導入されてからの数年に渡ってパワーユニット開発の制限のために用いられていた事が記憶に新しい。

4月6日(月)に行われたF1首脳陣とチーム代表による電話会議の中で、F1のチェイス・ケアリーCEO及びスポーティング・ディレクターのロス・ブラウン、そしてジャン・トッドFIA会長がトークン制に賛同したと伝えられており、実現に向けて大きく舵を切った。

案として上がっているのは、チームに各々2つのトークンが与えて、これを使うことでリストに掲載された20個の開発禁止パーツの中から2つを選んで例外的に開発を進める事ができるというものだ。詳細を詰めるために、各チームの技術代表者による議論が行われる。

更に2021年からのエンジン開発の凍結について、フェラーリ、ホンダ、メルセデス、ルノーが合意に至ったとも報じられており、車体側同様にパワーユニットに関してもトークン制が採用される事になりそうだ。