2021年9月11日にモンツァ・サーキットで開催されたF1イタリアGPスプリント予選の1周目の様子

”退屈”なF1スプリント予選、リバースグリッド採用で独立イベント化の可能性…2005年の”1発アタック方式”を推す声も

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F1は将来的に、スプリントレースを決勝のグリッド決定戦としてではなく、独立したイベントとして開催する方向性を検討しており、それに合わせてリバースグリッドが導入される可能性がある。

鳴り物入りで今シーズンのF1に導入されたスプリント予選は100kmの短距離を争うもので、このリザルトによって日曜の決勝レースのスターティング・グリッドが決定される。

9月11日(土)に開催されたイタリアGPのスプリント予選では、シルバーストンでの第1回目と同様にオープニングラップ以降は殆どオーバーテイクが見られず、セルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)は「ファンにとっても退屈だし、ドライバーにとっても退屈。正直言って何ももたらさない」と批判的な見解を示した。

現行F1マシンで追い抜くためには「かなり大きなデルタ」が必要であるものの、周回数が短い事もありタイヤのデグラデーションは限定的で、ターゲット車両とのタイム差があまりに小さいためにオーバーテイクが難しいのが問題だとペレスは指摘した。

F1の競技部門を率いるロス・ブラウンは、イギリスGPでの1回目の試みを終えてドライバー達と話し合いの場を持った事を明かし、より多くの「報酬」と「危険」を求める一部のドライバーからの要望を吸い上げたとする次のような改定案を披露した。

それは日曜の本戦のグリッド争いを金曜に行い、これらとは完全に独立したイベントとして土曜にスプリントレースを実施し、現在のスプリント予選で与えられている3-2-1制よりも多くのポイントを用意し、更にそのレースのスターティング・グリッドをリバースグリッド等の別の方式にするといった内容のものだ。

リバースグリッド方式はスプリント予選の導入に際して一度は議題に取り上げられたものの、メルセデスを含む反対者が出た事で全会一致の支持が得られずお蔵入りになった経緯がある。これはグリッドの並びをインベント直前の段階のチャンピオンシップの逆順にするというものだった。

トト・ウォルフ代表は「実力主義というこのスポーツのDNAを薄めてしまうことになる」等として依然、反対の立場を示しているが、ロス・ブラウンは”人為性”や”ギミック”を望んではいないとしてウォルフの意見に同調しつつも「バランスを採るのが難しいが、そこに可能性があるのは間違いない」として前向きな姿勢を見せている。

ペレスがスプリント予選に懐疑的な立場である一方、2度のF1ワールドチャンピオンは現行フォーマットを評価しており、更なる改善策としてグリッド方式の変更を提案している。

それは2005年シーズンの一部のグランプリで実施されていた1発アタック方式だ。これは1回のみのシングルラップでタイムを競うもので「一発勝負の予選」方式と言える。アロンソはこのフォーマットを推す理由を次のように説明した。

「もし予選が6セットのタイヤで行われるのであれば、最終的なリザルトはクルマのパフォーマンス順になるだろう。そうなればスプリントレースで順位が変動する可能性が薄れてしまう」

「例えば僕は昨日のQ2で、フロントタイヤをターン1でロックさせてしまうミスを犯した。この場合(1発アタック方式であれば)今日のレースを最後尾からスタートしていた事になる」

「ミスによる代償を最後尾スタートという形で支払うわけだ。そうなるともっとスパイシーだよね」

「シルバーストンでのスプリントを終えた時も、そして今回のモンツァでのセッションを終えた後も、僕は同じ考えを持った。変えるべきは金曜日で、可能であればグリッドがクルマのパフォーマンス順にならないようにすべきなんだと思う」

なおロス・ブラウンによると、スプリント予選の導入によって金曜日のイベントに対するファンのエンゲージメントは向上しており、これに関するモンツァでの数字はシルバーストンのそれを上回っているという。

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