カタロニア・サーキットのターン6に向かうアルピーヌA524、2024年6月21日F1スペインGPフリー走行
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F1スペイン決勝:タイヤ戦略考と気掛かりな天気、ペナ反映後のスターティング・グリッド

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日本時間6月23日(日)22時にスタートを迎える2024年シーズンのF1第10戦スペインGPのスターティング・グリッドが発表された。予選結果からの変動および、予想されるタイヤ戦略、天気を見ていこう。

変動したスターティンググリッド

接触事故を引き起こしたにも関わらず、シャルル・ルクレール(フェラーリ)とランス・ストロール(アストンマーチン)は戒告処分に留まり、降格ペナルティが科されることはなかった。

ルクレールに衝突されたことでフロントウイングが破壊されたランド・ノリス(マクラーレン)はマックス・フェルスタッペン(レッドブル)からその事実を聞き、怪訝な表情を浮かべて不満をあらわにした

ただ、大破したマシンで周回したとして前戦カナダGPでセルジオ・ペレス(レッドブル)が3グリッド降格ペナルティを受けたため、8番手以降のグリッドが変動した。

エステバン・オコン(アルピーヌ)、オスカー・ピアストリ(マクラーレン)、フェルナンド・アロンソ(アストンマーチン)はそれぞれ一つずつ昇格し、ペレスはポイント圏外11番手に降格した。

ローガン・サージェント(ウィリアムズ)もまた、ストロールへの妨害走行で3グリッド降格を受けたが、もともと予選最下位であったためグリッドへの影響はなかったが、僚友アレックス・アルボン(ウィリアムズ)がパワーユニットとセットアップを交換。ピットレーンスタートとなったため、逆に19番手と昇格した。

自身3年ぶりのポールポジションに着くのはノリス。2番グリッドにはフェルスタッペンが並び、2列目にはメルセデスのルイス・ハミルトンとジョージ・ラッセルが続く。

角田裕毅(RBフォーミュラ1)は後方17番グリッドに着く。隣の18番グリッドに並ぶのはチームメイトのダニエル・リカルドだ。

Pos No Driver Team Qualifying
1 4 L.ノリス マクラーレン・メルセデス 1(-)
2 1 M.フェルスタッペン レッドブル・ホンダRBPT 2(-)
3 44 L.ハミルトン メルセデス 3(-)
4 63 G.ラッセル メルセデス 4(-)
5 16 C.ルクレール フェラーリ 5(-)
6 55 C.サインツ フェラーリ 6(-)
7 10 P.ガスリー アルピーヌ・ルノー 7(-)
8 31 E.オコン アルピーヌ・ルノー 9(+1)
9 81 O.ピアストリ マクラーレン・メルセデス 10(+1)
10 14 F.アロンソ アストンマーチン・メルセデス 11(+1)
11 11 S.ペレス レッドブル・ホンダRBPT 8(-3)
12 77 V.ボッタス ザウバー・フェラーリ 12(-)
13 27 N.ヒュルケンベルグ ハース・フェラーリ 13(-)
14 18 L.ストロール アストンマーチン・メルセデス 14(-)
15 24 周冠宇 ザウバー・フェラーリ 15(-)
16 20 K.マグヌッセン ハース・フェラーリ 16(-)
17 22 角田裕毅 RB ホンダRBPT 17(-)
18 3 D.リカルド RB ホンダRBPT 18(-)
19 2 L.サージャント ウィリアムズ・メルセデス 20(+1)
20 23 A.アルボン ウィリアムズ・メルセデス 19(-1)

レースの模様はDAZNフジテレビNEXTで完全生配信・生中継される。

想定されるスタートタイヤ戦略

ピレリのシミュレーションによると、ドライコンディションの場合の最速タイヤ・ストラテジーはカタロニア・サーキット定番の2ストッパーで、珍しくもスタートタイヤがソフトになる可能性がある。

ピレリのモータースポーツ部門を率いるマリオ・イゾラは「理論上、最も速い戦略はC3(ソフト)を2セットとC2(ミディアム)を1セット使う2ストッパーだ」と語った。

「1ストップ戦略はあまりに遅いため除外されるが、4スティントを繋ぐ3ストッパーは2ストップよりも僅か数秒遅いに過ぎず、現実的な選択肢と言えるだろう」

F1スペインGP決勝タイヤ戦略シミュレーション、2024年6月23日カタロニア・サーキットCourtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

F1スペインGP決勝タイヤ戦略シミュレーション、2024年6月23日カタロニア・サーキット

プラクティスで得られたデータからは、ハードが著しく遅く(対ソフトで1周あたり1秒ダウン)、ソフトがミディアムに対してコンマ5秒近く速いということが分かっている。

メルセデス、アルピーヌ、そしてペレスとピアストリはイゾラの言う最速ストラテジーを採用しないかもしれない。これらの6台は新品ソフトのストックがない。逆に角田裕毅のRB勢とアレックス・アルボン(ウィリアムズ)は2セットの新品が手元にあり、ケビン・マグヌッセン(ハース)に至っては3セットをガレージに残している。

ドライバー別温存タイヤセット、2024年6月23日F1スペインGPCourtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

ドライバー別温存タイヤセット、2024年6月23日F1スペインGP

バルセロナはデグラデーションが大きいため、アンダーカットが強力に機能する。ソフトスタートの場合、最初のピットストップウインドウは早くて12周目にオープンとなる。それまでに適切なギャップを築けない場合、上位勢は連鎖的に計画外のピットインを強いられる可能性がある。

気になる天気は…

週末前の予報より上向いているが、それでも日曜のバルセロナは午前11時をピークとして、にわか雨が降る可能性が高い。

ただ決勝スタート時刻の15時の降水確率は10%と一気に低下するため、終始ウェットとなる可能性は低く、インターからドライへとコンディションが移り変わるレースとなりそうな状況だ。

仮に雨が降って表面のラバーが洗い流されれば路面はグリーンとなり、その分だけタイヤのデグラデーションは高まることになる。

予選でのシングルラップのみを考慮すればダウンフォースをつけすぎた、とするフェルスタッペンに追い風が吹くかもしれない。

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