グリッドに並ぶF1マシン
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リバティ・メディアによるF1運営が存続の危機…グランプリ主催者16団体が共同批判を展開

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リバティ・メディアによるF1統治が早くも正念場を迎えている。F1グランプリの現地主催者団体であるフォーミュラ1プロモーター協会(FOPA)が1月28日(月)に声明を発表。リバティ・メディアの運営手法を批判し、F1の行く末に懸念を表明した。

FOPAは、3月にオーストラリアで開幕を迎える21戦のシーズンを前に英国ロンドンで年次総会を開催。16のグランプリ代表者が出席し、「コンテンツや放送がファンに無料で提供されない状況は、このスポーツの長期的利益を損なう」として、F1の新たなオーナーとなった米国のメディア関連企業、リバティ・メディアの舵取りを批判した。

F1は2000年代以降、有料テレビ放送の拡大を推し進めており、ファンが無料でF1にアクセス出来る機会が減少している。この傾向はリバティ・メディアがオーナーとなって以降も変わらず、2007年から2017年までの10年間でテレビ視聴者は40%強も減少した。

各グランプリ主催者は年平均3,040万ドル、日本円にして33億2,700万円の開催権料の支払いを強いられているが、彼らが有料テレビ放送の拡大路線の恩恵を受けることはなく、むしろF1の認知度が低下するために観客数は減少、損失を被る立場にある。

リバティ・メディア体制のF1に反旗を翻した16の国名は明かされていないが、Forbes紙がある匿名の参加者が語った話として伝えたところによれば、リバティ・メディアの方針に賛同しているのはバクー、アブダビ、シンガポール、ロシア、そしてバーレーンの5カ国のオーガナイザーだという。つまりイタリアやイギリス、そして日本などの古くからレースを開催してきた団体の大部分が反発しているのだ。

更に、FOPAは共同声明の中で「将来の方向性は透明性に欠けるものであり、実施に際しても我々プロモーターとのすり合わせが欠如している」と付け加えた。

F1の最大の収入源はプロモーターからの開催権料であり、その額は総売上18億ドル(約1,969億円)のおよそ35%を占めている。体制批判を行った16のレース・オーガナイザーの支払合計額は全開催権料の約56%を占めており、年間総額3億6,110万ドル、日本円にして約395億円に上る。

これはリバティ・メディアによるF1運営を脅かしかねない危険な状況だ。仮に16の団体が団結して、F1からの撤退をちらつかせて開催権料引き下げを求めた場合、このスポーツは存続不可能な状況に追い込まれる可能性がある。この場合、投資家はリスクを取る事を避ける可能性が高く、リバティ・メディアはF1の運営から手を引きかねない。

リバティ・メディアは2016年9月にフォーミュラワン・グループを買収。46億ドルで人気低迷が叫ばれていたF1の興行権を取得した。以降、デジタルプラットフォームの活用やグリッドガールの廃止、公式ネット配信サービス「F1 TV」のリリース等、様々な領域に渡って改革を断行。旧バーニー・エクレストン体制からの急激な変化に対して、一部で軋轢が生じる場面もあった。

今回の反乱は、開催に向けて地元有力者との調整が進められているリバティ・メディアのお膝元、米国マイアミGPが発端とみられている。FOPAは声明の中で「既存のイベントに損害を与えるような形で、新しいグランプリを開催すべきではない」と表明。マイアミGPのプロモーターは、リバティ・メディアとの間に開催権料を無料とする契約条件を取り付けたと考えられている。