F1ジュエリー禁止令:ハミルトン、反抗的な装いで会見に…モナコまで猶予を与えたFIA
ジュエリー着用禁止令が出される中、渦中のルイス・ハミルトン(メルセデス)は親指以外の全てに指輪をはめ、何重ものネックレスとブレスレット、そして3つの時計に加えてピアスを着用したままF1マイアミGPの金曜公式会見に臨み、FIAへの対立姿勢を鮮明にした。
F1レースディレクターのニールス・ヴィティヒは安全上の理由から、競技中にピアスを含むジュエリーを装着する事はルールで禁止されているとして、マイアミ・インターナショナル・オートドロームでの週末を前に、チームに対してチェックするよう警告した。
ハミルトンはFIA会見の中で「今日はこれ以上、着けられない位にアクセサリーをつけてきた」と反抗的な姿勢を貫き「スポーツとしての歩みと言う点では一歩後退しているようにすら感じられる。光を当てるべきもっと重要な問題があると思うし、それに向けて取り組むべきだ」と訴えた。
「このスポーツを始めて16年になるけど、その間ずっとジュエリーをつけてきた。ドライブする時はイヤリングと、取り外せない鼻ピアスをしているだけだけどね。こんな論争は不要だと思う」
「少なくとも2つは外せないんだ。その内の一つは、どこにあるのか説明できないけど。一つ言える事は、それはプラチナ製だから磁気を帯びないって事だ。過去に安全性に関して問題が起きた事はない。この16年間、何度もMRI検査を受けてきたけど、プラチナを外す必要はなかったんだ」
そして一件は「本当に愚か」なことだと強調し、仮にピアスを外さず出場停止になったとしても「しょうがない」と述べ、リザーブドライバーに託すのみだとした上で、FIAのモハメド・ベン・スレイエム会長とこの件について話し合う意向を明らかにした。
これに対してピエール・ガスリー(アルファタウリ)は、安全を最優先事項として取り組みを続けるFIAの姿勢を評価しつつも、やり過ぎだとのハミルトンの見解は「理解できる」とコメントし、アレックス・アルボン(ウィリアムズ)は「最終的には自己責任」の問題だと付け加え、セルジオ・ペレス(レッドブル)は対立するのは避けるべきだとして、お互いに妥協点を見出すべきだと指摘した。
カンファレンスで徹底抗戦の構えを見せたハミルトンに対してFIAは、マイアミを含む2レースの猶予期間を設けた。つまり、5月29日に開催されるモナコGPまでにピアスを外せば、罰金を含む如何なる処罰も科される事はない。
ジュエリー装着に関しては1回目の違反で5万ユーロ(約687万円)、2回目は10万ユーロ(約1,371万)、そして3回目は25万ユーロ(約3,419万円)の罰金が科され、チャンピオンシップポイントが減点される可能性もある。
ヴィティヒが問題視しているのはジュエリーとアンダーウェアに関する規則の遵守だ。先人達の絶え間ない努力と積み重ねにより明文化されてきたルールには裏付けが存在する。
ヴィティヒは、ジュエリーを着用するとオーバーオールやアンダーウェアを含む防炎服の性能が低下する事を指摘した上で「ジュエリーのような金属製のものが皮膚に接触」すると「火災時に火傷を負うリスクが高まる可能性がある」と説明した。
また、競技中に宝飾品を身につけると、ヘルメットやバラクラバ帽、オーバーオール等がスムーズに脱着できず「医療チームによるレスキュー作業や事故後の診断・治療の妨げになる」可能性があるとも指摘し、次のように付け加えた。
「事故後の診断に医療用画像が必要な場合、ジュエリーを身に着けていると重大な遅延を引き起こす可能性があり、最悪の場合、更なる怪我に繋がる恐れがある」
「気道周りにジュエリーがあると、事故時に外れて飲み込んだり、吸い込んだりする可能性があり、更なるリスクをもたらす事もあり得る」