国際自動車連盟（FIA）がF1ドライバーの下着について締付けを強化する姿勢を見せた事で反発が広がっているが、一体レース中にどのような下着をつければ良いのか？ どのメーカーの下着がOKなのか？

下着検査に反発するドライバー

第3戦オーストラリアGPのレースディレクターを務めたニールス・ウィティヒは、ボディピアスやネックレスを含めたジュエリーの着用禁止だけでなく、ドライビング中に着用しなければならない下着の種類について今後、抜き打ち検査を通して厳格に取り締まっていく方針を示した。

英Autosportによるとピエール・ガスリーはこの指針に対して「ケツの穴でもチ●コでもなんでも、チェックしたいならどうぞご自由に。彼らがそれで満足ならそれで構わない」と皮肉を飛ばし、ルイス・ハミルトン（メルセデス）は「そんな細々したものを取り上げて議論するなんて本当に理解できない」と不満をあらわにした。

耐火被服ルール

2020年F1バーレーンGPでのロマン・グロージャンの事故に代表されるように、事故の衝撃によって燃料漏れが発生し、巨大な炎がドライバーを襲うような状況では、火傷の程度が肌に密着する下着の素材如何に左右されかれず、場合によっては生命に影響を及ぼす事態となる可能性もある。

FIA国際モータースポーツ競技規則付則L項の第2条、つまり耐火被服に関するルールは「FIA規格8856-2018に従って公認されたオーバーオール、長袖・長ズボンのアンダーウェア、バラクラバ帽、ソックス、シューズおよびグローブを着用しなければならない」 と定めている。

ここで言うところのアンダーウェアはボクサーパンツやブリーフではなく、丈が足首まである、いわゆるレギンスに相当する。

ただし、今回問題とされているのはレギンスではなく、ボクサーパンツやブリーフのようなその下に履く正真正銘？の下着の方のようだ。

ダニエル・リカルド（マクラーレン）は「防火下着なんて初耳だ。僕らが履いているレギンスがそれに該当するならともかく、実際の下着で耐火性がある物は持ってないし、そんなの聞いたことがない」と指摘した。

「少なくとも僕らがレース用品を手に入れている会社では作っていないと思うから、特注品を手に入れる他になさそうだ」

ノーパンのレッドブル勢

基本的にこのレギンスは、下に何も履かない状態で着用しなければならないが、一部のドライバーは局部とレギンスの間にもう一枚を忍ばせている。ただしマックス・フェルスタッペンとセルジオ・ペレスはこれに該当しない。

チーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーは「信頼できる情報筋から聞いた話だと我々のドライバーはノーパンらしいから、基本的には問題にならないはずだ」と明かし「まぁ僕がドライバーの下着をチェックしてコンプライアンスを確認することはないだろうがね。それはチームマネージャーの役割だから」と付け加えて責任回避の先手を打った。

ノーパンは必ずしもルール違反とはならない。正当な医学的理由がある場合にはFIAが承認したいないアンダーウェアを着用することができる。ただし、この場合であっても、肌に接触する素材は難燃性でなければならない。

ただリカルドが指摘した通り、問題は防火性能を持つブリーフやボクサーパンツが公認されていない点にある。

F1ドライバーが着用できる被服

以下の表はFIA規格8856-2018が与えられている製品のリストだ。上下のアンダーウェアに加えて、オーバーオール、グローブ、シューズ、バラクラバ、靴下の7種類がある。

全部で233製品が存在しており、世界中の24メーカーがホモロゲーションを取得している。だが、その中に防火ブリーフやボクサーパンツは確認できない。

なお、日本のメーカーは株式会社タニダ、株式会社エイチ・ピー・アイ、株式会社グループ・エム、5ZIGENインターナショナル株式会社の4社が、いずれもオーバーオールで規格を取得している。233製品の164製品がイタリア製というもの興味深い。