F1、下着・装飾品ルール遵守を強化…マイアミGPより宣言書義務
国際自動車連盟(FIA)は各グランプリ開幕前の宣言書(Scrutineering Declaration Form)を通して、ドライバーが下着と装飾品に関するルールを遵守しているかどうかをF1チームに確認させる方針を明らかにした。
F1チームは各週末のFP1開始4時間前までに車検を受け、FP1開始2時間前までにマシンがレギュレーションに適合している旨を記した車検宣言書を提出しなければならないが、マイアミGP以降はこれに、下着とジュエリーに関する項目が付け加えられる。
F1レースディレクターのニールス・ヴィティヒはF1第5戦マイアミGPの開幕を前に、車検宣言書のテンプレートに下着とジュエリーに関するルール準拠確認用の項目を追加したと説明した。
マイケル・マシに代わって今年、同職に就任したヴィティヒは、第3戦オーストラリアGPを前に行われたドライバーズブリーフィングの中で、同規則に反するドライバーへの締め付けを強化していく方針を示していた。
FIA国際スポーティング・コードはドライバーに対して、FIA 8856-2018規格に従って公認されたオーバーオール、長袖・長ズボンのアンダーウェア、バラクラバ帽、ソックス、シューズおよびグローブの着用を義務付けている。
また、競技中に「ボディピアスや金属製のネックチェーンなどの宝飾品」を身につけることも禁止されている。
これに対してルイス・ハミルトンは「何故そんな些細な事を取り上げているのか本当に理解できない」と不満を示し、自身が右耳につけているピアスについては、切り落とすか何かしない限り取り外す事ができないと訴えていた。
だが、先人達の絶え間ない努力と積み重ねにより明文化されてきたルールには裏付けが存在する。
ヴィティヒは、ジュエリーを着用するとオーバーオールやアンダーウェアを含む防炎服の性能が低下する事を指摘した上で「ジュエリーのような金属製のものが皮膚に接触」すると「火災時に火傷を負うリスクが高まる可能性がある」と説明した。
また、競技中に宝飾品を身につけると、ヘルメットやバラクラバ帽、オーバーオール等がスムーズに脱着できず「医療チームによるレスキュー作業や事故後の診断・治療の妨げになる」可能性があるとも指摘し、次のように付け加えた。
「事故後の診断に医療用画像が必要な場合、ジュエリーを身に着けていると重大な遅延を引き起こす可能性があり、最悪の場合、更なる怪我に繋がる恐れがある」
「気道周りにジュエリーがあると、事故時に外れて飲み込んだり、吸い込んだりする可能性があり、更なるリスクをもたらす事もあり得る」